2023年2月26日日曜日

白石歌053翠楼吟

翠楼吟

淳熙丙午冬、武昌安遠楼成、与劉去非諸友落之、度曲見志。余去武昌十年、故人有泊舟鸚鵡洲者、聞小姫歌此詞、問之、頗能道其事、還呉、為余言之、興懐昔遊、且傷今之離索也。

1月冷龍沙、塵清虎落、今年漢酺初賜。
2新翻胡部曲、聴氈幕元戎歌吹。
3層楼高峙、看欄曲縈紅、檐牙飛翠。
4人姝麗、粉香吹下、夜寒風細。

5此地宜有詞仙、擁素雲黄鶴、与君遊戯。
6玉梯凝望久、嘆芳草萋萋千里。
7天涯情味、仗酒祓清愁、花消英気。
8西山外、晚来還巻、一簾秋霽。

淳熙丙午の冬、武昌の安遠楼が(でき)て、劉去非ら諸友(ともだち)(いっしょ)(ここ)(らくせい)にいき、曲を(つく)って(きもち)(あらわ)した。(わたし)は武昌を去って十年、故人(むかしなじみ)に鸚鵡洲に泊舟(ふなやど)する者が()て、小姫(うたひめ)が此の詞を歌っているのを聞き、(そのひと)(たず)ねると、(とて)もよく(とうじ)の事を()うことが(でき)た、という。呉に(かえ)って、(わたし)の為に(このこと)(かた)った。昔遊(むかしのあそび)興懐(なつか)しく、(さら)に今()離索(さびしさ)(かな)しん()

 

1月が龍沙に冷たい、塵は虎落(とりでのまがき)に清らか、今年の(えん)が初めて(くだ)された。

2新しく胡部(いこく)の曲を()けば、氈幕(ぐんまく)元戎(げんすい)歌吹(うたごえ)が聴こえる。

層楼(たかどの)高峙(そび)え、欄曲(らんかん)縈紅(あかくめぐ)らされ、檐牙(ひさしのさき)(てんにむか)って翠に()える。

(あのひと)は麗しく、粉香(かおり)吹下(ふか)れる、夜の(つめ)たい風細(そよかぜ)に。

 

此地(ここ)は詞仙が()るのに(ふさわ)しい、素雲(はくうん)と黄鶴を()いて、君と(とも)遊戯(あそ)びたい。

玉梯(きざはし)から(しばら)凝望(なが)める、嘆く、芳草が萋萋(さわさわ)と千里。

天涯(てんのはて)情味(あじわい)、酒に(たよ)って清愁(うれい)を祓い、花で英気を消そう。

8西山の(むこう)晚来(よるにな)って()た巻く、一簾は秋の()れに。


淳熙十三年(1186)、三十二歳の作。

⇒『宋詞三百首』195翠楼吟(姜夔)

0 件のコメント:

コメントを投稿