湘中送胡德華
1芳蓮墜粉、疏桐吹緑、庭院暗雨乍歇。
2無端抱影銷魂処、還見篠牆螢暗、蘚階蛩切。
3送客重尋西去路、問水面・琵琶誰撥。
4最可惜・一片江山、総付与啼鴃。
5長恨相従未款、而今何事、又対西風離別。
6渚寒煙淡、棹移人遠、縹緲行舟如葉。
7想文君望久、倚竹愁生歩羅襪。
8帰来後・翠尊双飲、下了珠簾、玲瓏閑看月。
湘中で胡德華を送った
1芳蓮が粉を墜らせ、疏桐が緑を吹らせ、庭院では暗い雨が乍ど歇んだ。
2無端く影を抱く銷魂しい処、還た見る、篠の牆に螢が暗く、蘚むす階で蛩が切く。
3客を送り重び西へ去く路を尋ね、水面に問う、琵琶を撥いているのは誰か、と。
4最も可惜いのは、一片の江山、総て啼く鴃に付与えられている。
5長も相従っているときが未款いと恨んでいた、而今何事、又た西風に対って離別れるのか。
6渚は寒く煙は淡く、棹が移き人は遠ざかる、縹緲と行舟は葉の如。
7想う、文君は望久びて、竹に倚れ愁いて生るだろう、羅襪で歩きながら。
8帰来った後は、翠尊を双で飲みながら、珠簾を下了して、玲瓏い月を閑かに看るだろう。
淳熙十三年(1186)、三十二歳の作。
⇒『宋詞三百首』188八帰(姜夔)
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