2023年2月26日日曜日

白石歌038八帰

八帰

湘中送胡德華

1芳蓮墜粉、疏桐吹緑、庭院暗雨乍歇。
2無端抱影銷魂処、還見篠牆螢暗、蘚階蛩切。
3送客重尋西去路、問水面・琵琶誰撥。
4最可惜・一片江山、総付与啼鴃。

5長恨相従未款、而今何事、又対西風離別。
6渚寒煙淡、棹移人遠、縹緲行舟如葉。
7想文君望久、倚竹愁生歩羅襪。
8帰来後・翠尊双飲、下了珠簾、玲瓏閑看月。

 

湘中で胡德華を(みおく)った

 

芳蓮(はす)(はなびら)()らせ、疏桐(あおぎり)()()らせ、庭院(にわ)では暗い雨が(ちょう)()んだ。

無端(わけもな)く影を抱く銷魂(さび)しい(とき)()た見る、(しのだけ)の牆に螢が暗く、(ごけ)むす(きざはし)(コオロギ)()く。

3客を(みおく)(ふたた)び西へ()く路を尋ね、水面(みずも)に問う、琵琶を()いているのは誰か、と。

4最も可惜(おし)いのは、一片の江山、(すべ)て啼く(カッコウ)付与(あた)えられている。

 

(いつ)相従()っているときが未款(みじか)いと恨んでいた、而今(いま)何事(なぜ)()た西風に(むか)って離別(わか)れるのか。

6渚は寒く(もや)は淡く、棹が(うご)き人は遠ざかる、縹緲(ぼんやり)行舟(ふね)は葉の(よう)

(おも)う、文君(さいくん)望久(まちわ)びて、竹に(もた)れ愁いて()るだろう、羅襪(きぬのくつした)で歩きながら。

帰来(かえ)った後は、翠尊(さけ)(ふたり)で飲みながら、珠簾(すだれ)下了(おろ)して、玲瓏(あかる)い月を(しず)かに()るだろう。


淳熙十三年(1186)、三十二歳の作。

⇒『宋詞三百首』188八帰(姜夔)

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