2023年2月26日日曜日

白石歌043長亭怨慢

長亭怨慢

予頗喜自制曲、初率意為長短句、然後協以律、故前後闋多不同。桓大司馬云、昔年種柳、依依漢南、今看揺落、淒愴江潭、樹猶如此、人何以堪。此語予深愛之。

1漸吹尽・枝頭香絮、是処人家、緑深門戸。
2遠浦縈回、暮帆零乱向何許。
3閲人多矣、誰得似長亭樹。
4樹若有情時、不会得青青如此。

5日暮、望高城不見、只見乱山無数。
6韋郎去也、怎忘得玉環分付。
7第一是早早帰来、怕紅萼無人為主。
8算空有并刀、難剪離愁千縷。

 

予(わたし)は頗(とて)も自(じぶん)で曲を制(つく)るのが喜(す)きで、初め率意(おもいのまま)に長短の句を為(つく)り、然後(それから)協(ととのえ)るのに律を以(もち)いる、故(そのため)に前後の闋が不同(そろわな)いことが多い。桓大司馬は云った、「昔年(むかし)、柳を種(う)えて、漢南を依依(おも)った、今見えるのは揺落(ちりお)ちて、淒愴(さびし)げな江潭(かわべ)、樹で猶(さ)え此(こ)の如(よう)、人は何(どうし)て以(これ)を堪(たえ)れようか」と。此(こ)の語(ことば)は、予(わたし)は深く之(これ)を愛している。

 

1漸(しだい)に吹き尽くされる枝頭(こずえ)の香絮(やなぎのわた)、是処(ここ)は人(あのひと)の家、緑の深(おく)に門戸(とびら)。

2遠く浦を縈回(めぐ)って、暮れの帆が零乱(ちりぢり)に何許(どこ)に向かうやら。

3多くの人を閲(み)てきた(矣)、誰が長亭(えき)の樹(やなぎ)に得似(かな)うだろう。

4樹に若(も)し情が有る時は、如此(これほど)まで青青としては不会得(いられま)い。

 

5日が暮れ、高城(まち)を望むが不見(みえな)い、只だ無数の乱山(やまやま)だけが見える。

6韋郎(さん)は去也(いってしま)った、怎(どう)して玉環の分付(わかれ)を忘得(わすれら)れようか。

7第一是(ともかく)も早く早く帰って来て、紅(あか)い萼(はな)に主と為(な)る人が無いのが怕(こわ)いから。

8算(きっ)と并刀が有っても空(むな)しく、千縷(ちぢ)の離(わか)れの愁いを剪(き)るのは難しい。


紹熙二年(1191)、三十七歳の作。

⇒『宋詞三百首』191長亭怨慢(姜夔)

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