富覽亭永嘉作
1日落愛山紫、沙漲省潮回。
2平生夢猶不到、一葉眇西来。
3欲訊桑田成海、人世了無知者、魚鳥両相猜。
4天外玉笙、杳子晋只空台。
5倚闌干、二三子、総仙才。
6爾歌遠遊章句、雲気入吾杯。
7不問王郎五馬、頗憶謝生双屐、処処長青苔。
8東望赤城近、吾興亦悠哉。
富覽亭、永嘉の作
1日が落ち山の紫さを愛し、沙が漲え潮が回るのを省る。
2平生の夢は猶だ不到い、一葉で眇か西から来た。
3桑田が海に成ったか訊ねようとするが、人世では知る者が了無い、魚と鳥は両(者)とも相猜う。
4天の外、玉笙は杳い、子晋は只だ台を空しくする。
5(かつてここで)闌干に倚れた、二三子は、総て仙才だった。
6爾が「遠遊」の章句を歌えば、雲気が吾が杯に入る。
7王郎の五馬は不問い、頗も憶す、謝生の双屐、処処に長も青い苔。
8東のほう赤城(山)の近くを望めば、吾が興も亦た悠なる哉。
開禧二年(1206)、五十二歳の作。 0富覽亭:『永嘉県志』に見える。 永嘉:浙江温州。 2一葉:蘇軾「前赤壁賦」に「駕一葉之扁舟」とある。 眇西来:遠く西から来る。 桑田成海:世の中の変化が大きいこと。温州は海辺にある。 了無:まったくいない。 3「天外」二句:王子喬、字は子晋の故事。笙を吹くと鳳凰の鳴き声のようで、修行して仙人となり、鶴に乗って去った。 5二三子:諸君、数人。『論語』「八佾」に「二三子何患於喪乎。天下之無道也久矣、天将以夫子為鐸」とある。 遠遊:『楚辞』の「遠遊」篇。遊仙に託して情を述べている。 6王郎五馬:王羲之の五馬坊。『永嘉県志』に「五馬坊在旧郡治前。王義之守永嘉、庭列五馬、繍鞍金勒、出即控之。今有五馬坊」とある。 謝生:謝霊運。山水を好み、永嘉太守だった。 双屐:歯のある木製のくつ。謝霊運はこれを履いて山歩きをし、上るときは前の歯をとり、下る時は後ろの歯をとったという。『宋書』本伝に見える。 7赤城:山の名。台州にある。浙江天台の北で、道教の名山。
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