2023年3月6日月曜日

白石歌059驀山渓

驀山渓

詠柳

1青青官柳、飛過双双燕。
2楼上対春寒、捲珠簾瞥然一見。
3如今春去、香絮乱因風、霑径草、惹牆花、一一教誰管。

4陽関去也、方表人腸断。
5幾度払行軒、念衣冠尊前易散。
6翠眉織錦、紅葉浪題詩、烟渡口、水亭辺、長是心先乱。

 

柳を詠む

 

1青青した官柳、飛び過ぎる双双(つがい)の燕。

2楼上で春の寒さに対(むか)い、珠簾(すだれ)を捲きあげて瞥然(さっ)と一見(み)る。

3如今(いま)や春は去り、香絮(やなぎのわた)が乱れて風の因(せい)で、径(こみち)の草に霑(うるお)し、牆(かきね)の花に惹(つ)き、一つ一つ誰に管(かかわ)らせ(教)ようか。

 

4陽関を去って(也)、方表(そと)の人は腸断(かな)しい。

5幾度も行軒(たびのくるま)を払い、衣冠(ゆうじん)と尊前(わかれのえん)で散(はな)れ易いことを念(おも)う。

6翠眉(あのひと)は錦を織り、紅葉は浪にうかべて詩を題(か)いた、烟(けぶ)る渡口(わたしば)、水べの亭の辺(そば)、長是も心が先に乱れる。


制作年、未詳。 1官柳:官府に植えられた柳。官道や宮園の柳。 2瞥然:さっとかすめるように。 4陽関:王維「送元二使安西」に「勧君更尽一杯酒、西出陽関無故人」とある。 方表:四方の外。域外。 5行軒:旅の車。 衣冠:士大夫。 6翠眉:美しい女性。 「紅葉」句:宮女が葉に詩を書いて、宮廷の溝から外へ流した故事。

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