2023年3月6日月曜日

白石歌055小重山令

小重山令

趙郎中謁告迎侍太夫人、将来都下、予喜為作此曲。

1寒食飛紅満帝城、慈烏相対立、柳青青。
2玉階端笏細陳情、天恩許、春尽可還京。

3鵲報倚門人、安輿扶上了、更親擎。
4看花携楽緩行程。
5争迎処、堂下拜公卿。

 

趙郎中が謁告(いとまごい)して太夫人(ははうえ)を迎侍(むか)えに、都下(みやこ)に将来(こよ)うというので、予(わたし)は喜んで為(そのため)に此の曲を作った。

 

1寒食の飛ぶ紅(はなびら)は帝城を満たし、慈烏(からす)が青青した柳に相対立(むかいあ)う。

2玉階で笏を端(もっ)て細(こま)かに情を陳(の)べ、天恩が許され、春の尽(おわり)に京(みやこ)に可還(もど)る。

 

3鵲報(よいしらせ)を門に倚(もた)れてまっていた人を、安輿(こし)に扶(ささ)え上了(のせ)るのに、更に親(みずか)ら擎(てをひ)く。

4花を看(み)て楽を携えて、緩(ゆっくり)と行程(すす)む。

5争って迎える処、堂下で公卿を拜す。


制作年、未詳。 0趙郎中:未詳。 謁告:休暇を申請すること。 太夫人:官吏の母親をいう。 都下:都の臨安。 1寒食:清明節の時に、火を使うことを禁止する風習があった。  慈烏:カラスは母親に反哺する孝行な鳥と考えられていた。 2端笏:正しく笏を持つ。笏は、官員が皇帝に拝謁する際に手に持ち、君命を忘れないように記録した。 3鵲報:鵲が鳴くと吉報があると考えられていた。 倚門:妻や母が門で待つようす。 安輿:親を迎える時に用いる車。

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