2023年3月6日月曜日

白石歌040喜遷鶯慢

喜遷鶯慢

功父新第落成

1玉珂朱組、又占了道人、林下真趣。
2窓戸新成、青紅猶潤、双燕為君胥宇。
3秦淮貴人宅第、問誰記六朝歌舞。
4総付与・在柳橋花館、玲瓏深処。

5居士、閑記取。
6高臥未成、且種松千樹。
7覔句堂深、写経窓静。
8他日任聴風雨。
9列仙更教誰做、一院双成儔侶。
10世間住、且休将雞犬、雲中飛去。

 

功父の新しい(やしき)が落成した

 

玉珂(うま)朱組(おびだま)高官であって)()占了(しめ)ている、道人(どうし)林下(はやし)での真趣(おもむき)

窓戸(いえ)は新しく()き、青紅(ぬりいろ)()だ潤い、双燕(つばめ)が君の為に(やしき)()ている。

3秦淮(河)の貴人の宅第(やしき)、誰に問えば、六朝の歌舞を(おぼえ)ているだろう。

(すべ)付与(あた)えよう、(ここの)柳のならぶ橋と花さく館、玲瓏(キラキラ)と深い処()

 

居士(あなた)は、(しず)かに記取(おもいだ)す。

高臥()ようとしたが未成(ねむれな)いで、(しばら)く千樹の松を()えた。

7堂の(おく)で句を(もと)静かなべで写す

8他日は(おもうまま)に風雨を聴く。

9列仙は更に誰に做ら()ようか、一院(にわ)には(つがい)儔侶(なかま)(でき)ている。

10世間に住んで、(しばら)く雞や犬()、雲中に飛び去らせるのは()めよう。(ここが神仙世界のようにすばらしいのだから)


慶元六年(1200)、四十六歳の作。 0功父:張鎡、字は功父、約斎居士と号した。 新第落成:杭州北城南湖にあった。『斉東野語』に「園池声妓服玩之麗甲天下」とある。また『浙江通志』に「白洋池一名南湖。宋時張鎡功甫構園亭其上、号曰桂隠。後捨為広寿慧雲寺、俗呼張家寺」とある。 1玉珂:馬勒(おもがい)の飾り。多くが玉制。 朱組:佩玉や印章につける紐。高官の装飾。 2胥宇:邸宅を観察する。落成したばかりなので、つがいの燕もまだ巣を作っていない、の意。 3秦淮:南京の秦淮河。繁華な地で、貴顕な人が住んだ。 5居士:張鎡をいう。 6高臥:休むこと。隠居して出仕しないこと。『晋書』「陶潜伝」に「嘗言夏月虚閑、高臥北窓之下、清風颯至、自謂羲皇上人」とある。 松千樹:張鎡の桂隠北園に「蒼寒堂」があり、松二百株を植えていた。 7写経窓静:『武林旧事』に、桂隠園の中に「写経寮」がある、という。 9双成:董双成。古代の伝説の仙女。西王母に仕え、練炭を練り、それが出来ると鶴に乗って昇仙したという。『漢武帝内伝』に見える。ここは張鎡の妾をいう。 10「且休将雞犬」二句:淮南王が方術を学んで、王だけでなく家族や犬、鶏も昇仙した故事。王充『論衡』「道虚」に見える。

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