詠芍藥
1恨春易去、甚春却向揚州住。
2微雨、正繭栗梢頭弄詩句。
3紅橋二十四、総是行雲処。
4無語、漸半脱宮衣笑相顧。
5金壺細葉、千朶囲歌舞。
6誰念我・髩成糸、来此共尊俎。
7後日西園、緑陰無数。
8寂寞劉郎、自修花譜。
芍藥を詠む
1春が去り易いことを恨む、甚て春は却ず揚州に住むのか。
2微かな雨が、正ど繭や栗のような梢頭にふる、詩句を弄ぶ。
3紅橋二十四は、総是て行雲の処。
4無語って、漸く宮衣を半ば脱いで、笑って相顧る。
5金の壺と細い葉、千朶にも歌舞(する人々)を囲む。
6誰が念うだろう、我の髩が糸く成り、此に来て尊俎を共にしていよう、とは。
7後日、西園は(芍薬が散って)、無数の緑陰になろう。
8寂寞しい劉郎は、自り花譜を修むことだろう。
嘉泰二年(1202)、四十八歳の作か。 0白石は揚州に孝宗淳熙三年(1176)と寧宗嘉泰二年(1202)の2回、行ったことがある。 1「甚春」句:なぜ春色は揚州に住んでいるのか、の意。呉曾『能改斎漫録』巻十五に孔武仲「芍薬譜」を引いて、「揚州芍薬、名於天下、非特以多為誇也。其敷腴盛大而繊麗功密、皆他州之所不及」とある。 2繭栗梢頭:芍薬のつぼみが小さく繭や栗のようだ。黄庭堅『山谷内集』巻七「往歳過広陵値早春嘗作詩……今春以前韻寄王定国」の前韻に「紅薬梢頭初繭栗、揚州風物鬢成糸」とある。 3二十四:揚州の名勝に二十四橋があった。黄庭堅の前詩に「淮南二十四橋月、馬上時時夢見之」とある。『揚州画舫録』巻十五には二十四橋は、別名を紅薬橋という、とある。 4宮衣:宮女の服。花びらの喩え。 5金壺:酒器。ここは大きな黄色い花をいう。 千朶囲歌舞:芍薬が満開になった時の賑わいをいう。『能改斎漫録』巻十五「芍薬譜」に「自三月初旬始開、浹旬而甚盛、遊観者相属於路、障幕相望、笙歌相聞」とある。 7西園:広く園林をいう。 8劉郎:『宋史』「芸文志」に、劉邠(字は貢父)の『芍薬譜』一巻が著録されている。後に散逸。劉邠は劉敞の弟で、かつて司馬光の『資治通鑑』編纂を手伝ったことがある。
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