張彦功官舎在鉄冶嶺上、即昔之教坊使宅。高斎下瞰湖山、光景奇絶。予数過之、為賦此。
1虚閣籠寒、小簾通月、暮色偏憐高処。
2樹隔離宮、水平馳道、湖山尽入尊俎。
3奈楚客、淹留久、砧声帯愁去。
4屢回顧、過秋風未成帰計。
5誰念我・重見冷楓紅舞。
6喚起淡妝人、問逋仙今在何許。
7象筆鸞牋、甚而今・不道秀句。
8怕平生幽恨、化作沙辺烟雨。
張彦功の官舎が鉄冶嶺の上、即ち昔の教坊使の宅に在る。高斎の下には湖と山を瞰められ、光景が奇絶しい。予は数ば之を過ぎ、為に此を賦んだ。
1虚した閣に寒さが籠もり、小さな簾に月あかりが通る、暮色は偏ら高処に憐しく。
2樹は離宮を隔て、水は馳道と平らかになり、湖も山も尽く尊俎に入る。
3奈て楚の客(私)は、久しく淹留っているのだろう、砧の声が愁いを帯びて去る。
4屢ば回顧る、秋風が過ぎても帰る計は未成い。
5誰が我を念うだろう、重び冷たく楓が紅く舞うさまを見ていよう、とは。
6淡妝人を喚起す、逋仙は今、何許に在るのか問ねたい。
7象の筆と鸞の牋、甚て而今、秀句を不道いのか。
8怕らく平生の幽恨は、沙辺の烟雨に化作ってしまったのだろう。
制作年、未詳。 0張彦功:未詳。劉過『龍州集』に「賀新郎 贈張彦功」詞がある。 鉄冶嶺:杭州雲居山の下にある。『西湖志』に見える。 教坊使:官命。 2離宮:杭州清波門外の聚景園をいう。孝宗が晩年、ここに住んだ。 馳道:天子の車駕が通る道。 湖山尽入尊俎:宴会の間じゅう、湖や山の景色が目に入る、の意。 6淡妝人:梅の花の喩え。楊万里「梅花」に「月波成霧霧成霜、借与南枝作淡妝」とある。 逋仙:北宋の林逋のこと。 7象筆鸞牋:象牙で作った筆と、鸞鳥の模様のある便箋。精美な紙と筆をいう。
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