2023年3月6日月曜日

白石歌028念奴嬌②

念奴嬌

謝人惠竹榻

1楚山修竹、自娟娟・不受人間袢暑。
2我酔欲眠伊伴我、一枕涼生如許。
3象歯為材、花藤作面、終是無真趣。
4梅風吹溽、此君直恁清苦。

5須信下榻殷勤、翛然成夢、夢与秋相遇。
6翠袖佳人来共看、漠漠風烟千畝。
7蕉葉窓紗、荷花池館、別有留人処。
8此時帰去、為君聴尽秋雨。

 

(あるひと)が竹の(ベッド)を惠んでくれたことに謝す

 

1楚の山の修竹(たけ)は、(おのずか)娟娟(しなやか)で、人間(このよ)袢暑(あつさ)不受(うけな)い。

(わたし)は酔って眠りたい()(あれ)(わたし)(とも)をする、一枕(まくら)に涼しさが如許(どれほど)生じるだろう。

象歯(ぞうげ)を材と()て、花藤(ふじ)を面と()ても、終是(けっきょく)は真の(おもむき)は無い。

(つゆごろ)の風が(むしあつ)さを吹きはらい、此の(たけ)(ずっ)(このよう)清苦(すがすが)しい。

 

須信(きっ)(ベッド)殷勤(ねんごろ)(よこたわ)れば、翛然(おもうまま)()て、夢で秋()相遇(であ)うだろう。

6翠の袖の佳人が来て共に看る、漠漠(ひろびろ)と風ふき(もや)たなびく千畝を。

(ばしょう)の葉のしげる窓紗(まど)(ハス)の花さく池館(たてもの)(ことさら)に人を留める処が有る。

8此の時、帰去(かえ)って、(たけ)の為に秋の雨を聴き尽くそう。


制作年、未詳。 0竹榻:竹の小さなベッド。 1修竹:長い竹。 娟娟:しなやかなさま。 袢暑:溽暑、炎暑。 2我酔欲眠:李白「山中与幽人対酌」に「我酔欲眠卿且去、明朝有意抱琴来」とある。 4梅風:初夏の梅の実が黄色く熟す頃の風。 此君:竹のこと。『晋書』「王徽之伝」に王徽之が「嘗寄居空宅中、便令種竹。或問其故、徽之但嘯詠指竹曰、何可一日無此君邪」とある。 恁:このように。 清苦:貧を守り刻苦する。 5翛然:自由で洒脱なさま。『荘子』「大宗師」に「翛然而往、翛然而来而已矣」とあり、成玄英の疏に「翛然、無繋貌也」という。 6翠袖佳人:杜甫「佳人」に「天寒翠袖薄、日暮倚修竹」とある。 7窓紗:窓にはってある紗。楊万里「初夏睡起」其一に「梅子留酸軟歯牙、芭蕉分緑与窓紗」とある。 池館:池のそばの建物。

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