2023年2月26日日曜日

白石歌047疏影

疏影

1苔枝綴玉、有翠禽小小、枝上同宿。
2客裏相逢、籬角黄昏、無言自倚修竹。
3昭君不慣胡沙遠、但暗憶・江南江北。
4想佩環・月夜帰来、化作此花幽独。

5猶記深宮旧事、那人正睡裏、飛近蛾緑。
6莫似春風、不管盈盈、早与安排金屋。
7還教一片随波去、又却怨・玉龍哀曲。
8等恁時・重覓幽香、已入小窓横幅。

 

1苔むす枝に玉を綴り、小小(ちいさ)(みどり)(とり)たちが()て、枝の上に同宿(とま)る。

客裏(たびさき)相逢(であ)った、(まがき)(すみ)が黄昏れて、無言で(ひと)り修竹に(もた)れるとき。

3昭君は遠い胡沙(さばく)不慣(なれな)い、()(ひっそり)と江南江北を(おも)う。

佩環(おびだま)が月夜に帰って来て、此の花と化作()って幽独(ひそ)かと(おも)う。

 

(なお)(おもいだ)す、深宮(おくどの)旧事(できごと)那人(あのひと)(ちょう)睡裏(ねむ)り、飛んで蛾緑(まゆ)に近づいた。

6春風の(よう)盈盈(いつまで)不管(ほってお)くのは()めて、早く(いっしょ)金屋(たかどの)安排(おちつ)きなさい。

()一片(ひとひら)を波に随って去らせれ()ば、又た(かえ)って玉龍(ふえ)の哀しい曲を怨むだろう。

恁時(そのとき)(ふたた)(ひそや)かな香りを(たず)ねることに()っても、(すで)に小窓の横幅()に入っているだろうから。


紹熙二年(1191)、三十七歳の作。

⇒『宋詞三百首』194疏影(姜夔)

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