黄慶長夜泛鑑湖、有懐帰之曲、課予和之。
1夜深客子移舟処、両両沙禽驚起。
2紅衣入槳、青灯揺浪、微涼意思。
3把酒臨風、不思帰去、有如此水。
4況茂陵遊倦、長干望久、芳心事、簫声裏。
5屈指帰期尚未、鵲南飛・有人応喜。
6画闌桂子、留香小待、提携影底。
7我已情多、十年幽夢、略曾如此。
8甚謝郎・也恨飄零、解道月明千里。
黄慶長が夜に鑑湖に(船を)泛べ、(故郷へ)帰りたいという曲を懐が有て、予に之に和するよう課めた。
1夜が深て客子が舟を移かす処、両両の沙の禽が驚起た。
2紅衣に槳を入す、青灯が浪に揺れ、微な涼しい意思。
3酒を把って風に臨めば、思わず帰去ることを、此の水に有如う。
4況て茂陵で遊び倦れ、長干では(妻が)望久ている、芳心しい事、簫の声の裏で。
5指を屈っても帰る期は尚未い、鵲が南へ飛べば、応と喜ぶ人が有るだろうに。
6画闌のそばの桂子、香りを留めて小く待ち、影の底で提携う(のはいつになるだろう)。
7我は已に情が多い、十年の幽い夢、略ぼ曾て此の如だった。
8甚て謝郎も也た飄零て恨み、「月が千里に明るい」と解道うのか。
紹熙四年(1193)、三十九歳の作。 0黄慶長:未詳。 鑑湖:鏡湖・慶湖ともいう。浙江紹興城南三里にある。 課:要求する。 2紅衣:ハスの花をいう。 3有如:水を指して誓う。『左伝』僖公二十四年に「所不与舅氏同心者、有如白水」とあり、楊伯峻の注に「有如、亦誓詞中常用語、文十二年伝有如河……有如白水即有如河、意謂河神鑑之」という。 4茂陵:漢の武帝の陵墓、長安の西にあり、漢代は富豪が住む地域だった。ここは自分が客として居る場所をいう。 長干:金陵の巷の名。いま南京市南にある。 望久:黄慶長の妻が待ちわびているだろう、の意。 5鵲南飛:鵲が鳴くと吉報があると考えられていた。 8謝郎:南朝宋の謝荘。「月賦」に「美人邁兮音塵闕、隔千里兮共明月。臨風歎兮将焉帰、川路長兮不可越」の句がある。ここは黄慶長を指す。
0 件のコメント:
コメントを投稿