1梅根東望九華雲、
2中有風流衣繡人。
3名下一生労夢想、
4尊前数語倍情親。
5節旄在道催帰漢、
6花鳥留君且作春。
7見説祥風挾時雨、
8故園松菊亦精神。
鄭郎中に寄上る
1梅根(浦)から東のほう、九華(山)の雲を望むと、
2中に風流な衣繡な人が有ます。
3名下としての一生を夢想に労められ、
4尊前での数語に情親みは倍になるでしょう。
5節旄さす在道、漢に帰るのが催かれたでしょうに、
6花や鳥が君を留めようと、且く春らしかったでしょう。
7見説では、(夏至のあとの)祥い風に時を得た雨が挾り、
8(池州の)故園の松や菊も亦た精神しているそうですよ。
紹熙五年(1194)、四十歳の作。 0鄭郎中:鄭汝諧、字は舜挙。紹熙三年九月に新年の祝いのために金に派遣された。紹熙五年に知池州となった。 1梅根:池州の梅根浦。 九華:池州の九華山。 2衣繡:錦繍の衣装。顕貴な人をいう。ここは当時池州にいた蕭徳藻(千巌)をさす。詩022「送項平甫倅池陽」に「九華山色梅根渡、半日風帆即秋浦。六条察吏安用許、幸有千巌作詩侶」とある。 3労夢想:蕭徳藻が隠遁を想い続け、いまは実現していることか。宋・李之儀「初入褒禅山」に「四十年来労夢想、白頭方喜慰平生」とある。 5節旄:使者が持って行く旗じるし。旗竿の先に旄という旗飾りをつけ、これに鳥の羽などを垂らした旗。 7祥風:夏至のあとに吹く暖かい風。 時雨:時にふさわしい雨。「祥風」とともに、天子の恩沢をいう。
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