2023年2月9日木曜日

白石詩045寄上鄭郎中

寄上鄭郎中

1梅根東望九華雲、
2中有風流衣繡人。
3名下一生労夢想、
4尊前数語倍情親。
5節旄在道催帰漢、
6花鳥留君且作春。
7見説祥風挾時雨、
8故園松菊亦精神。

 

鄭郎中に寄上(さしあげ)る

 

1梅根(浦)から東のほう、九華(山)の雲を望むと、

2中に風流な衣繡(こうき)な人が有(い)ます。

3名下としての一生を夢想に労(つと)められ、

4尊前(さけ)での数語に情親(したし)みは倍になるでしょう。

5節旄(はた)さす在道(どうちゅう)、漢(くに)に帰るのが催(せ)かれたでしょうに、

6花や鳥が君を留めようと、且(しばら)く春らし(作)かったでしょう。

7見説(きくところ)では、(夏至のあとの)祥(あたたか)い風に時を得た雨が挾(まじ)り、

8(池州の)故園(にわ)の松や菊も亦(ま)た精神(いきいき)しているそうですよ。


紹熙五年(1194)、四十歳の作。 0鄭郎中:鄭汝諧、字は舜挙。紹熙三年九月に新年の祝いのために金に派遣された。紹熙五年に知池州となった。 1梅根:池州の梅根浦。 九華:池州の九華山。 2衣繡:錦繍の衣装。顕貴な人をいう。ここは当時池州にいた蕭徳藻(千巌)をさす。詩022「送項平甫倅池陽」に「九華山色梅根渡、半日風帆即秋浦。六条察吏安用許、幸有千巌作詩侶」とある。 3労夢想:蕭徳藻が隠遁を想い続け、いまは実現していることか。宋・李之儀「初入褒禅山」に「四十年来労夢想、白頭方喜慰平生」とある。 5節旄:使者が持って行く旗じるし。旗竿の先に旄という旗飾りをつけ、これに鳥の羽などを垂らした旗。 7祥風:夏至のあとに吹く暖かい風。 時雨:時にふさわしい雨。「祥風」とともに、天子の恩沢をいう。

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