1淮南雪落雲繞戍、
2王郎鳴鞭獵狐兎。
3問君本是山陰人、
4何不扁舟剡渓去。
5人生楽事将無同、
6知君此心如太空。
7只今去踏龍尾道、
8也似寒江蓑笠翁。
9鑑湖一曲荷花浦、
10君不帰来花有語。
11旧宅応添竹幾竿、
12到家不覚秋如許。
13十年雪裏看淮南、
14聚米能作淮南山。
15籌辺妙処須急吐、
16政自不容修竹閑。
17人道長江無六月、
18日光正射青蘆葉。
19何以贈君濯炎熱、
20雪即是詩詩是雪。
王孟玉が山陰に帰るのを送る
1淮南では雪が落り、雲が戍を繞んでいる、
2王郎は鞭を鳴らして狐や兎を獵る。
3君に問るが、「本は是は山陰の人、
4何て扁舟で剡渓に不去いのか」と。
5「人生の楽しみ事は、将無同だよ」という、
6君の此の心は太空の如なものだと知った。
7只今は去って龍尾のような道を踏み、
8也た寒江の蓑笠の翁の似。
9鑑湖の一曲、荷の花さく浦、
10君が不帰来いと、花は語が有るだろう。
11旧宅には竹が幾竿か添ているにちがいない、
12家に到れば秋は如許であるか不覚い。
13十年を雪の裏、淮南を看たから、
14米を聚めて淮南山を作ることができるだろう。
15籌辺の妙処は急に吐すべきで、
16政自に修竹の閑けさを不容い。
17人は長江に六月は無いと道うが、
18日光は正に青い蘆の葉を射る。
19何を以て君に贈り、炎熱を濯いでもらおうか、
20雪は即ち是れ詩、詩は是れ雪だ。
紹熙元年(1190)、三十六歳の作。 0王孟玉:王璆、南宋の医家。字は孟玉、号は是斎、山陰(浙江省)の人。。淮南幕官、漢陽太守を歴任し、公務のあいまに医薬を学び、『是斎百一選方』二十巻を刊行した。いま抄本が伝わる。 1淮南:淮河以南、長江以北の地域。 4扁舟剡渓去:晋の王徽之の故事。山陰に住んでいたが、冬のある雪の夜、興がわいて小舟で剡渓まで戴安道を訪ねたが、門まで来て会わずに引き返した。理由を聞かれて、「一緒に月を見ようとやってきたが、興が尽きた」と答えた。『世説新語』「任誕篇」に見える。 5将無同:たぶん同じようなものだろう、の意。阮修(字は宣子。阮籍の甥)が、老荘と聖教の違いを尋ねられた時に答えた言葉。『世説新語』「文学篇」に見える。 7龍尾道:山陰(紹興)にある臥龍山。白石詩028「同朴翁登卧龍山」に「龍尾回平野」とある。 8寒江蓑笠翁:柳宗元「江雪」に「孤舟蓑笠翁、独釣寒江雪」とある。 9鑑湖:鏡湖・南湖・長湖ともいう。山陰にある。 14聚米:馬援が米をあつめて山や谷を作って形勢を示し、作戦を伝えた故事。『後漢書』「馬援伝」に見える。 15籌辺:辺境の軍事を画策する。 17長江無六月:長江流域が涼しく、夏がないこと。楊万里「初二月苦熱」詩に「人言長江無六月、我言六月無長江」とある。
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