2023年2月4日土曜日

白石詩017烏夜啼

烏夜啼

1老烏棲棲飛且号、
2晨来枝上啄楮桃。
3楮桃已空楮葉死、
4猶啄枯枝覓虫蟻。
5老烏賦分何其貧、
6未啼已被鄰公嗔。
7吁嗟老烏不自知、
8牆頭屋上紛成群。
9呉中貴遊重鸚鵡、
10千金遠致能言語。
11花底紅条鄭袖擎、
12盤中碧果秦宮取。
13天生霊物得人憐、
14過者須来鸚鵡辺。
15老烏事事無足録、
16人間猶伝夜啼曲。

 

烏夜啼

 

1老烏(カラス)が棲棲(がやがや)と飛び且(ま)た号(な)き、

2晨(あさ)には枝の上に来て楮(こうぞ)の桃(み)を啄(ついば)む。

3楮の桃(み)は已(すで)に空(すくな)く、楮の葉は死(か)れ、

4猶も枯れ枝を啄んで虫や蟻を覓(さが)している。

5老烏(カラス)の賦分(ししつ)は何(どうし)て其(そんな)に貧しいのか、

6未啼(なかな)いのに已に鄰公(おとなり)に嗔(しか)られる。

7吁嗟(ああ)、老烏(カラス)は自(じぶん)を不知(しらな)い、

8牆頭(かきね)や屋上(やね)で紛(ごっちゃ)に群を成している。

9呉の中(ちいき)の貴遊(きこうし)が鸚鵡を重んじて、

10千金で遠くから致(とりよせ)るのは、言語(ことば)ができる(能)から。

11花の底(した)の紅(あか)い条(ひも)は鄭袖が擎(も)ち、

12盤の中の碧い果(み)は秦宮が取ってくれる。

13天生の霊物は人に得憐(かわいがられ)て、

14過(とおりすぎ)る者は須(かなら)ず鸚鵡の辺(そば)へ来る。

15老烏(カラス)は事事(なにごと)も録(しる)すに無足(たらな)いが、

16人間(せけん)では猶(な)お「夜啼曲」を伝える。


制作年、未詳。 0烏夜啼:楽府題。 2楮桃:楮の実。甘味があって食べられる。 5賦分:天賦、資質。 9貴遊:官職のない王侯貴族、顕貴な人。 11花底紅条:鸚鵡をつなぐ紐。 鄭袖:戦国時代、楚の懐王の寵姫。 12盤中碧果:鸚鵡のエサ。種をよく食べる。 秦宮:後漢の大将軍、梁冀に寵愛された奴隷頭。

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