戯仲遠
1看垂楊連苑、杜若侵沙、愁損未帰眼。
2信馬青楼去、重簾下、娉婷人妙飛燕。
3翠樽共款、聴艶歌・郎意先感。
4便携手・月地雲階裏、愛良夜微暖。
5無限風流疎散、有暗蔵弓履、偸寄香翰。
6明日聞津鼓、湘江上・催人還解春纜。
7乱紅万点、悵断魂・烟水遙遠。
8又争似相携、乗一舸鎮長見。
仲遠に戯れる
1垂楊は苑に連なり、杜若は沙を侵すのが看える、未帰い(あの人を待つ)眼は愁いて損ねる。
2馬に信せて青楼に去ったのだ、重なる簾の下、娉婷しい人妙な飛燕のもとへ。
3翠樽を共に款しみ、艶っぽい歌を聴いて、郎の意が先に感かされる。
4便で手を携り、月地雲階の裏、良夜と微暖を愛した。
5無限い風流も疎散き、暗に弓履を蔵し、偸と香翰を寄せて有る。
6明日(の夕暮れ)には津の鼓を聞いて、湘江の上で、人を催て還た春の纜を解かせる。
7万点もの乱る紅、悵断しい魂、烟る水は遙か遠い。
8又た争似も相携って、一舸に乗り鎭長に見いましょう、と。
淳熙十三年(1186)、三十二歳の作。 0眉嫵:別名を百宜嬌という。 仲遠:白石の友人、呉興(浙江湖州)の人。 1杜若:香草の名。別名を杜蘅という。カキツバタ。『楚辞』「九歌・湘君」に「采芳洲兮杜若、将以遺兮下女」とある。 2青楼:妓楼をいう。 飛燕:趙飛燕。漢の成帝の皇后で、舞を善くした。 4月地雲階:仙境をいう。唐・牛僧孺「周秦行紀」に「香風引到大羅天、月地雲階拝洞仙」とある。 5弓履:女性の履く刺繍のある靴。 香翰:香りのある書簡。ラブレターをいう。 6春纜:船を繋ぐともづな。 8舸:大きな船。 鎮長:久しい。石孝友「洞仙歌(芙蓉院宇)」に「尽従他、烏兔促年華、看緑鬢朱顔、鎮長依旧」とある。
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