2023年2月28日火曜日

白石歌022浣渓沙④⑤

浣渓沙

丙辰臘、与兪商卿・銛朴翁同寓新安渓荘舎、得臘花韻甚、賦二首。

1花裏春風未覚時、美人呵蕊綴横枝、鬲簾飛過蜜蜂児。

2書寄嶺頭封不到、影浮盃面悞人吹、寂寥惟有夜寒知。

   又

1剪剪寒花小更垂、阿瓊愁裏弄妝遅、東風焼燭夜深帰。

2落蕊半黏釵上燕、露横斜映鬢辺犀、老夫無味已多時。

丙辰の(じゅうにがつ)、兪商卿・銛朴翁()(いっしょ)に新安の渓荘舎に(みをよせ)て、(ふんいき)が甚だよい臘花(ろうばい)を得て、二首を(つく)った。

 

1花の(なか)の春風に未覚(きがつかな)い時、美人(ろうばい)は蕊を(あたた)めて横枝に綴り、簾を(へだて)て飛び過る蜜蜂の()

 

(てがみ)を嶺頭から寄せるが封不到(とどかな)い、影を(さかずき)の面に浮べ、人を(あざむい)て吹かせた、寂寥(さび)しい、()だ夜の寒さが有ることだけを知る。

 

   又

 

剪剪(びっしり)と寒々しい花が小さく更に垂れ、阿瓊(びじょ)は愁いの(なか)(けしょう)()るのも遅い、東風(はるかぜ)にふかれながら(ろうそく)(とも)して夜が(ふけ)てから帰る。

 

2蕊を落とし半ば()りつく、(かんざし)の上の燕のかざりに、露が()いて(蝋梅の影を)斜めに映す、鬢の(そば)の犀(のかんざし)に、老夫(おいぼれ)無味(あじけな)い、已に(なが)(あいだ)


慶元二年(1196)、四十二歳の作。 0臘:臘月。旧暦十二月の異称。 兪商卿:兪灝、字は商卿。 銛朴翁:葛天民、もと名を義銛といった。字は朴翁。 渓荘舎:張平甫の荘園。張鎡『南湖集』に「題平甫弟梁渓荘園」詩がある。 臘花:蝋梅。唐梅(カラウメ)。北宋の黄庭堅が詩に詠んでから、流行った。香りがよい。 1呵:息を吹きかけて暖める。 横枝:梅の一首。 2書寄嶺頭:江南にいた陸凱が、北方の隴頭(長安に近い)にいる范曄に、梅の花の枝を贈った故事。ここの「嶺頭」は大庾嶺で、広東と江西の堺にあり、唐代に張九齢が新しく路を開き、梅をたくさん植えたので、梅嶺と呼ばれる。 悞人吹:酒杯に映った花の影を、花びらと間違えて吹いた、の意。 又1剪剪:集まっているさま。 阿瓊:美女をいう。 又2犀:犀の角で作った簪。

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