2023年2月26日日曜日

白石歌019玉梅令

玉梅令〈髙平調〉

石湖家自製此声、未有語実之、命予作。石湖宅南、鬲河有圃曰范村、梅開雪落、竹院深静、而石湖畏寒不出、故戯及之。

1疏疏雪片。
2散入溪南苑。
3春寒鎖・旧家亭館。
4有玉梅幾樹、背立怨東風、高花未吐、暗香已遠。

5公来領略、梅花能勧。
6花長好・願公更健。
7便揉春為酒、剪雪作新詩、拚一日・繞花千転。

石湖の家で此の声(メロディ)を自製(つく)ったが、之(これ)に実(あて)る語(かし)が未有(まだな)かったので、予(わたし)に命じて作らせた。石湖の宅(やしき)の南に、河を鬲(へだて)て圃(はたけ)が有り范村と曰(い)い、梅が開(さ)き雪が落(ふ)り、竹院は深く静かで、而(それなの)に石湖は寒さを畏(おそ)れて不出(でな)い、故(そのゆえ)に戯れて之(これ)に及んだ。

 

1疏疏(ぱらぱら)と雪の片(はな)。

2散って溪(たに)の南の苑(その)に入る。

3春は寒く鎖(とざ)す、旧家の亭館(やかた)。

4幾樹(すうほん)の玉梅(はくばい)が有り、背をむけて立ち東風(はるかぜ)を怨む、高いえだの花は未吐(まださかな)いのに、暗(ひめやか)な香りは已に遠くへ。

 

5公(あなた)が来て領略(あじわ)えば、梅の花も(もっと咲くように)勧めることが出来る(能)だろう。

6花は長(いつ)も好(すばら)しい、公が更に健かであれと願っている。

7便(そこ)で春を揉んで酒を為(つく)り、雪を剪って新詩を作り、一日を拚(すて)て花を千転(いくど)も繞(めぐ)ろう。


紹熙二年(1191)、三十七歳の作。 0石湖:范成大。淳熙九年(1182)、五十七歳の時に病のため故郷の石湖に隠棲し、白石とも交流を持った。 范村:范成大『梅譜』自序に「余於石湖玉雪坡既有梅数百本、比年又於舎南買王氏僦舎七十楹、尽拆除之、治為范村。以其地三分之一与梅」とある。 4暗香:梅のほのかな香り。 5領略:「領客」とするテキストもある。 7揉春為酒:春の景色を醸して美酒にする、の意。 拚:捨てる。惜しまない。

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