己酉歳、寓呉興、同田幾道尋梅北山沈氏圃、載雪而帰。
1略彴横溪人不度、聴流澌・佩環無数。
2屋角垂枝、船頭生影、算唯有春知処。
3回首江南天欲暮、折寒香・倩誰伝語。
4玉笛無声、詩人有句。
5花休道軽分付。
己酉の歳、呉興に寓て、田幾道と同に梅を北山沈氏圃に尋ね、雪を載せて帰った。
1略彴が溪に横してあるが人は不度い、澌を流す無数の佩環(のような音)を聴く。
2屋の角に枝を垂らし、船頭が影を生る、算と唯だ春だけが(梅の)処を知って有る。
3江南を回首れば天は暮れようとしている、寒香を折って、誰に倩んで語を伝えてもらおうか。
4玉笛に声が無い、詩人に句が有た。
5花よ、道うのは休てくれ、軽々しく分付っているなんて。
淳熙十六年(1189)、三十五歳の作。 0呉興:浙江湖州市。 田幾道:未詳。白石に詩040「寄田郎」があるが、その人か。 北山沈氏圃:南宋の時代、呉興に南北二つの沈尚書園があり、北沈は沈賓尚書園で、城北の奉勝門外にあった。賓王は北村と号した。(周密『癸辛雑識』前集)。 1略彴:木の一本橋。 流澌:川に解けた氷が流れるさま。『楚辞』「九歌・河伯」に「与女游兮河之渚、流澌纷兮将来下」とあり、王逸の注に「流澌、解冰也」という。 3寒香:梅の花。折って人に贈る習俗があった。 4玉笛無声:笛曲「梅花落」を吹く人が誰もいない、の意。李白「与史郎中欽聴黄鶴楼上吹笛」に「黄鶴楼中吹玉笛、江城五月落梅花」とある。 5花休道軽分付。
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