2023年2月28日火曜日

白石歌015鷓鴣天⑤

鷓鴣天

元夕不出

1憶昨天街預賞時、柳慳梅小未教知。
2而今正是歓遊夕、却怕春寒自掩扉。

3簾寂寂、月低低、旧情惟有絳都詞。
4芙蓉影暗三更後、臥聴鄰娃笑語帰。

 

元夕に不出(でかけな)かった

 

1憶(おもいだ)す、昨(きのう)の天街(おなりみち)、預賞の時、柳の慳(め)と梅の小(つぼみ)は未教知(しられていな)い。

2而今(いま)正是(まさ)に歓び遊ぶ夕(ゆうべ)、却(おもいがけ)ず春の寒さを怕(おそ)れて自ら扉を掩(とざ)す。

 

3簾は寂寂(ひっそ)り、月は低低(ひく)く、旧(むかし)の情(おもい)は惟(た)だ「絳都」の詞(うた)だけに有る。

4芙蓉(はなちょうちん)の影が暗い、三更の後、臥(よこにな)って鄰の娃(むすめ)が笑語(わら)いながら帰ってきたのを聴いている。


慶元三年(1197)、四十三歳の作。 1元夕:正月十五日。元宵。 1天街:天子の御成り路。預賞:臘月十五日から正月十五日の元宵まで、提灯を試す習俗があり、これを「預賞」と呼んだ。 柳慳:柳の葉が芽吹いたばかりで柔らかいさま。「慳」は吝嗇の意。 3絳都詞:「絳都春」という詞調名。北宋・丁仙現在に「絳都春(融和又春)」詞があり、汴京の元宵を詠っている。これを指すか。 4芙蓉:ハスの花。ここは花提灯をいう。陸游「灯夕有感」に「芙渠紅緑亦参差」とある。

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