2023年2月23日木曜日

白石歌015鷓鴣天①

鷓鴣天

己酉之秋、苕溪記所見。

1京洛風流絶代人、因何風絮落溪津。
2籠鞋淺出鴉頭韈、知是凌波縹緲身。

3紅乍笑、緑長嚬、与誰同度可憐春。
4鴛鴦独宿何曾慣、化作西楼一縷雲。


己酉()秋、苕溪で見た(こと)を記す。

 

京洛(みやこ)の風流な絶代(またといな)人、因何(なぜ)風絮(やなぎのわた)溪津(たにがわ)に落ちるのだろう。

籠鞋(サンダル)から(そっ)と出ている鴉頭韈(くつした)凌波(さざなみ)を身に縹緲(まと)う(美女)と知是(わか)

 

(ほお)(ふっ)と笑い、(まゆ)(いつ)(ひそ)めて()(いっしょ)に可憐な春を(すご)すのか。

4鴛鴦は(ひと)りで宿(ねむ)るのに何曾(どうし)て慣れるだろう、化して西楼の一縷(ひとすじ)の雲に()ろうか。


淳熙十六年(1189)、三十五歳の作。 1京洛:洛陽のこと。ここは臨安を指す。 2籠鞋:指が外に出る、サンダルような靴。 鴉頭韈:親指とほかの4本の指に分かれている靴下。 凌波:女性が軽やかに歩くすがた。曹植「洛神賦」に「凌波微歩、羅袜生塵」とあり、呂向 の注に「步於水波之上、如塵生也」とある。 4「化作」句:宋玉「高唐賦」に「妾在巫山之陽、高丘之阻、旦為朝雲、暮為行雨、朝朝暮暮、陽台之下」とあるのを踏まえる。

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