2023年2月27日月曜日

白石歌009阮郎帰①

阮郎帰

為張平甫寿、是日同宿湖西定香寺。

1紅雲低圧碧玻璃、惺愡花上啼。
2静看楼角払長枝、朝寒吹翠眉。

3休渉筆、且裁詩、年年風絮時。
4繡衣夜半草符移、月中双槳帰。

 

張平甫の寿(おいわい)の為に、是の日、(いっしょ)に湖西の定香寺に宿(とま)った。

 

紅雲(はなびら)が低く碧の玻璃(すいめん)圧し、惺愡(ちゅんちゅん)と花の(そば)で(鳥が)啼く。

2静かに楼の(すみ)を看る、長い枝を払って、朝の(つめた)い(風が)翠眉(やなぎ)に吹いている。

 

3筆を(はこ)ぶのを(やめ)よ、(しばら)く詩を(つく)りたまえ、年年、風絮の時。

繡衣(あなた)夜半符移(ぶんしょ)()、月の中を(私と)(ふた)つの(かい)


慶元二年(1196)、四十二歳の作。 0張平甫:張鑑のこと。 定香寺:杭州西湖にある寺。『武林旧事』巻五「西湖三堤路」に「旌徳観、元係定香寺旧址」とある。 1紅雲:散る花びらの喩え。 惺愡:鳥の鳴き声。元稹「春六十韻」に「燕巣才点綴、鶯舌最惺愡」とある。 3渉筆:筆を動かすこと。ここはとくに公文書を書くこと。 裁詩:詩を作ること。 4繡衣:官名。漢の武帝の時に置かれた「繡衣直指」は、大事件や討伐の際にのみ任命され、地方に派遣されて獄を治める職もあった。ここは張平甫が当時、法律関係の官職にあり公文書の起草をしていたことを指す。 符移:「符」は所管(上級の役所)から被管(下級の役所)に下す公文書、「移」は対等の役所間に交わされる文書。

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