2023年2月3日金曜日

白石詩006春日書懐③

春日書懐

其三

1垂楊大別寺、
2春草郎官湖。
3家巷有石友、
4合并不待呼。
5瘦藤倚花樹、
6花片藉玉壺。
7老鄭談絶妙、
8辛楊句敷腴。
9平生子姚子、
10貌古心甚儒。
11時邀野僧語、
12間与琴工俱。
13酒闌興未了、
14左転城南隅。
15大江囲楚碧、
16烟水入元虚。
17留落不自恨、
18惟嗟故人疏。
19一月三見夢、
20夢中相与娯。
21日日潮風起、
22悵望武昌魚。

 

其三

 

1垂楊の大別寺、

2春草の郎官湖。

家巷(まち)には石友(しんゆう)()て、

合并(あつま)るのに呼ぶのを不待(またな)い。

瘦藤(つえ)ついてさく(もた)れると、

花片(はなびら)が玉壺に()る。

老鄭(ていくん)は絶妙に談じ、

(しんくん)(ようくん)は、句が敷腴(ゆた)か。

9平生、子姚子(ようせんせい)は、

10(すがた)(こふう)で、心は甚だ(じゅしゃ)であった。

11時に野僧を(むか)えて語り、

12(たま)に琴工と(とも)にした

13酒が(たけなわ)になっても興は未了(つきな)い、

14(まち)の南の(すみ)左転(いどう)する。

15大江(かわ)は楚の(やま)を囲み、

16(もや)った水は元虚(そらのはて)に入る。

17留落(おちぶれ)ても自ら恨むことはせず()

18()故人(とも)(そえん)なことを(なげ)く。

19一月(いとつき)に三たび夢を見て、

20夢の中で相与(いっしょ)(たの)しむ。

21日日、潮風が()つと、

22武昌の魚を(さび)しく(なが)めて。


1大別寺:陸游『入蜀記』巻三に「漢陽負山帯江、其南小山有僧寺者、大別山也」とある。 2郎官湖:白石「清波引」詞序に「予久客古沔、滄浪之烟雨、鸚鵡之草樹、頭陀黄鶴之偉観、郎官大別之幽処、無一日不在心目間」とある。 3石友:情誼の厚い金石のごとき友。晋・潘岳「金谷集作詩に」「投分寄石友、白首同所帰」とある。 5瘦藤:枯れた藤のツル。杖にして山歩きに使った。 7老鄭:鄭仁挙、字は次皐。 8辛楊:辛泌(字は克清)と楊大昌(字は正之)。 敷腴:喜ぶさま。楊万里「千巌摘藁序」に「余嘗論近世之詩人、若范石湖之清新、尤梁渓之平淡、陸放翁之敷腴、蕭千巌之工致、皆余之所畏怖者」とある。 9子姚子:姚剛中。白石「探春慢」詞序に「予自孩幼従先人宦於古沔、女須因嫁焉。中去復来幾二十年、豈惟姊弟之愛。沔之父老児女子亦莫不予愛也。丙午冬、千巖老人約予過苕霅、歳晚乗濤載雪而下、顧念依依、殆不能去。作此曲別鄭次臯・辛克清・姚剛中諸君」とある。 12琴工:琴師。 13闌:たけなわ。絶頂で、そのあと衰退に向かう。 16元虚:「玄虚」、道家のいう「玄妙虚無」の道理。 22武昌:鄂州武昌県。唐・岑参「送費子帰武昌」詩に「秋来倍憶武昌魚、夢著只在巴陵道」とある。

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