丙辰之冬、予留梁渓、将詣淮而不得、因夢思以述志。
1人間離別易多時、見梅枝、忽相思。
2幾度小窓幽夢手同携。
3今夜夢中無覔処、漫徘徊、寒侵被、尚未知。
4湿紅恨墨浅封題、宝箏空、無雁飛。
5俊遊巷陌、算空有・古木斜暉。
6旧約扁舟、心事已成非。
7歌罷淮南春草賦、又萋萋。
8漂零客、涙満衣。
慶元二年(1196)、四十二歳の作。 0梁渓:いまの江蘇省無錫。張鑑の荘園があった。 淮而:「而」は「南」の訛り。淮南は、安徽合肥。 4湿紅恨墨:二説あり、一説は「湿涙」を「紅涙」と解釈し、一説は紅箋に涙が浸みると解釈する。いずれの説も、妓女が泣きながら書いた怨みに満ちた手紙の意。 無雁飛:箏の柱(ことじ)を立てて弾く人がいない。柱の並ぶ様子が、雁の群れが列をなして飛ぶ姿に似ている。 7淮南春草賦:淮南小山「招隠士」に「王孫遊兮不帰、春草生兮萋萋」とある。白石は五年前に合肥を離れる時に011「点絳唇(金谷)」を作り、「淮南好、甚時重到、陌上生春草」と詠っている。
丙辰の冬、予は梁渓に留まり、淮而に詣でようとしたが不得かった、因で夢に思ったことを以て志を述べる。
1人間では離別が易多い時、梅の枝を見て、忽と相思う。
2幾度となく小窓で幽夢に手を同携った。
3今夜の夢の中、(あの人は)無覔処い、漫に徘徊って、寒さが被に侵び、尚も未知い。
4湿れた紅、恨みの墨、浅く封て(宛名を)題く、宝箏は空しく、飛ぶ雁は無い。
5俊遊んだ巷陌には、算と空しく有るのだろう、古木と斜暉が。
6旧の扁舟での約、心事は已に非うものに成った。
7淮南の「春草」の賦を歌い罷た、又た萋萋と(春草が茂る季節)。
8漂零れた客、涙が衣に満い。
慶元二年(1196)、四十二歳の作。 0梁渓:いまの江蘇省無錫。張鑑の荘園があった。 淮而:「而」は「南」の訛り。淮南は、安徽合肥。 4湿紅恨墨:二説あり、一説は「湿涙」を「紅涙」と解釈し、一説は紅箋に涙が浸みると解釈する。いずれの説も、妓女が泣きながら書いた怨みに満ちた手紙の意。 無雁飛:箏の柱(ことじ)を立てて弾く人がいない。柱の並ぶ様子が、雁の群れが列をなして飛ぶ姿に似ている。 7淮南春草賦:淮南小山「招隠士」に「王孫遊兮不帰、春草生兮萋萋」とある。白石は五年前に合肥を離れる時に011「点絳唇(金谷)」を作り、「淮南好、甚時重到、陌上生春草」と詠っている。
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