其三
1九山如馬首、
2一一奔洞庭。
3小舟過其下、
4幸哉波浪平。
5大風忽怒起、
6我舟如葉軽。
7或升千丈坡、
8或落千丈坑。
9回望九馬山、
10政与大浪争。
11如飛鵞車礟、
12乱打睢陽城。
13又如白獅子、
14山下跳鬇鬡。
15須臾入別浦、
16万死得一生。
17始知茵席湿、
18尽覆杯中羮。〈鬇鬡一作猙獰〉
其三
1九つの山は馬の首の如、
2一つ一つ洞庭に奔っている。
3小舟は其の下を過ぎ、
4幸いだなあ、波浪は平いでいる。
5大風が忽と怒起り、
6我の舟は葉の如に軽い。
7或は千丈の坡を升り、
8或は千丈の坑に落ちる。
9回って九馬山を望めば、
10政に大浪と争っている。
11如で鵞車の礟を飛ばして、
12睢陽城を乱れ打つよう。
13又た如で白獅子が、
14山の下で鬇鬡れて跳るよう。
15須臾に別の浦に入り、
16万死に一生を得た。
17始めて知った、茵席が湿て、
18杯の中の羮が尽く覆っている、と。〈鬇鬡は一に猙獰に作る〉
1九山:洞庭湖の東岸にある九山觜山。 11鵞車:城を攻めるために用いる戦車。 礟:石弓。 12睢陽城:安禄山の反乱軍に抗った張巡らがたてこもった城。 14鬇鬡:毛髪の乱れるさま。
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