夔蚤歳孤貧奔走川陸数年以来始獲寧処秋日無謂追述旧遊可喜可愕者吟為五字古句時欲展閲自省生平不足以為詩也
其一
1洞庭八百里、
2玉盤盛水銀。
3長虹忽照影、
4大哉五色輪。
5我舟度其中、
6晃晃驚我神。
7朝発黄陵祠、
8暮至赤沙曲。
9借問此何処、
10滄湾三十六。
11青蘆望不尽、
12明月耿如燭。
13湾湾無人家、
14只就蘆辺宿。
昔遊詩
夔は蚤歳くして孤貧しかったので、川陸を奔走して、ここ数年以来、始く寧処を獲た。秋の日、無謂く、旧遊んで可喜く可愕いた者を追述し、吟じて五字古句を為った。時に展げて閲て自ら生平を省みたい。以を詩と為るには不足い。
其一
1洞庭の八百里、
2玉盤に水銀を盛ったよう。
3長い虹が忽と影を照し、
4大きなことよ、五色の輪。
5我の舟は其の中を度る、
6晃晃として我の神を驚かす。
7朝に黄陵の祠を発ち、
8暮れに赤沙の曲に至いた。
9借問しますが、此は何処でしょう、
10滄湾三十六ですよ。
11青蘆が望不尽、
12明月が耿く燭の如。
13湾湾にも人家は無く、
14只だ蘆の辺に(舟を)就けて宿った。
嘉泰元年(1201)、四十七歳の作。 0蚤歳:早年。年少の頃。「蚤」は「早」に通じる。 孤貧:父親が早く亡くなって貧しかった。 1洞庭:洞庭湖。 6晃晃:明るいさま。 驚:はっとさせる。 7黄陵祠:黄陵廟。舜の二妃(娥皇と女英)の廟で、湖南省湘陰県の北にある。 8赤沙:洞庭湖の北西に赤沙湖がある。 10滄湾三十六:赤沙湖附近にある数々の入り江を指すと思われる。
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