2022年12月29日木曜日

白石詩014和転庵丹桂韻

和転庵丹桂韻

1野人復何知、
2自謂山沢好。
3来禆奉常議、
4識笳鼓羽葆。
5誰憐老垂垂、
6却入閙浩浩。
7営巣猶是寓、
8学圃何不早。
9淮桂手所植、
10漢甕躬自抱。
11花開不忍出、
12花落不忍掃。
13佳客夜深来、
14清尊月中倒。
15一禅両居士、
16更約践幽討。

 

転庵丹桂に和す

 

1野人るでしょう

2自ら山沢は(すばら)しいと謂うだけ。

奉常の議を(たすけた)いと

4笳鼓・羽葆を(わけ)

5誰が憐れむだろう、老垂垂(おいぼれ)て、

(かえ)って閙浩浩(がやがや)(した議論)に(くわ)わろう、とは。

7巣を営んでも(やは)(これ)(かりずまい)

(はたけ)を学ぶのに(どうし)不早(おそ)いことがあろう。

淮桂(キンモクセイ)(てづか)所植()え、

10漢甕(かめ)躬自(みずか)(かか)える。

11花が()けば出るに不忍(しのびな)い、

12花が()れば掃くに不忍(しのびな)い。

13(すばら)しい客が夜()けて来れば、

14清尊(さけ)(つきあかり)(した)(かたむ)ける。

15(ひとり)(ぜんし)(ふたり)の居士、

16更に(やくそく)して幽討(やまあるき)(でかけ)ましょう。


慶元三年(1197)、四十三歳の作。 0転庵:潘檉、字は徳久、号は転庵。 丹桂:桂の一種。葉はコノテガシワに似て、樹皮は赤い。月には桂樹が生えているといい、「丹桂」は月の別称でもある。 3奉常:宗廟の儀礼を司る。 4笳鼓:胡笳と胡鼓。「笳」は葦の葉で製った笛。もとは北方の胡楽だが、晋以降、天子の鹵簿(行列)で用いた。 羽葆:鳥の羽で飾った鼓。 8学圃:野菜作りを学ぶこと。 9淮桂:淮南の桂樹(キンモクセイ)。『楚辞』「招隠士」に「桂樹叢生兮山之幽」とある。また劉禹錫「楊柳枝」九首(其一)に「塞北梅花羌笛吹、淮南桂樹小山詞」とある。 10漢甕:漢水のはいった甕。『荘子』「天地篇」に「子貢南遊於楚、反於晋、過漢陰、見一丈人、方将為圃畦、鑿隧而入井、抱甕而出灌」とある。 躬自:自ら。 15一禅両居士:「一禅」は葛天民、「二居士」は白石と徳久を指すか。 16幽討:幽景をたずねる。奥深くたずねる。

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