2022年11月27日日曜日

白石詩026次韻誠斎送僕往見石湖長句

次韻誠斎送僕往見石湖長句

1客来読賦作雌蜺、
2平生未聞衡説詩。
3省中詩人官事了、
4狎鷗入夢心無機。
5韻髙落落懸清月、
6鏗鏘妙語春氷裂。
7一自長安識子雲、
8三嘆郢中無白雪。
9范公蕭爽思出塵、
10有客如此渠不貧。
11堂堂五字作城守、
12平章勁敵君在口。
13二公句法妙万夫、
14西来囊中蔵魯璵。
15只今擊節烏棲曲、
16不愧当年賀鑑湖。
 

(わたし)が石湖に()いに()くのを送る誠斎の長句に、次韻する。

 

1客が来て()を読み雌蜺と()る、

2平生、(匡)衡が詩を()くのを未聞(きかな)い。

3省中の詩人は官事(しごと)(おわ)れば、

4狎れた鷗は夢に入り心に(はくらみ)が無い。

5韻は髙く落落(さえざえ)として、清い月が懸かり、

鏗鏘(どうどう)たる妙語に、春の氷は裂ける。

7一たび長安(みやこ)で子雲を()ってから()

8三たび郢中(みやこ)に白雪の無いことを嘆く。

9范公は蕭爽(さっぱり)として思いは(せぞく)を出て、

10客が有て(あなた)(よう)であれば(かのひと)不貧(まずしくな)いだろう。

11堂堂たる五字は城守を()し、

12勁敵(きょうてき)平章(しなさだめ)すれば君が口に(のぼ)る。

13二公の句法は万夫より妙であり、

14西に来た(私は)囊中(ふくろ)魯の(ぎょく)(かく)している。

15只今(いま)、「烏棲曲」に節を()れば

16当年の賀鑑湖にも不愧(はじな)いだろう。


淳熙十四年(1187)春、三十三歳の作。 0誠斎:楊万里(1127~120)、字は廷秀、号は誠斎、吉州吉水(江西省吉水県)の人。このとき左司郎中として臨安にいた。『楊斎集』巻二十二に「朝天集 送姜堯章謁石湖」詩がある。 石湖:范成大(1126~1193)、字は致能(至能)、号は石湖居士、呉郡(江蘇省蘇州市)の人。このとき引退して蘇州の石湖にいた。 1作雌蜺:「雌蜺」は副虹、はっきりと見える主虹の外に薄く見える虹。楊万里の原詩に「白蜺」とあり、姜白石を誉めたのに対し、謙遜して言う。 2衡:前漢の匡衡のこと。代々農夫の家に生まれたが学問を好み、小作をして学費を捻出し、誰よりも精力的に学んだので、儒者の間で「『詩経』を語るな、匡衡がやってくる。匡衡が詩経を語れば顎が外れる」と言われるようになった。 4狎鷗入夢心無機:『列子』に、機心(機を見て活動しようと思う心。たくらみのある心)があると、鷗が近寄ってこない話がある。 7子雲:前漢の揚雄の字。楊万里を喩える。 8郢:古く楚の都だった地。 白雪:「陽春白雪」の歌。 9范公:范成大のこと。 13二公:楊万里と范成大。 14魯璵:春秋戦国時代の魯に璵璠という美しい宝玉があった。楊万里の原詩に「袖詩東来謁老夫、慚無髙價索璠璵」とあり、姜白石の詩が魯璵のように素晴らしいと誉めている。 15烏棲曲:楽府の曲。李白の「烏棲曲」を見て賀知章は「鬼神も泣くだろう」と高く評価した。 16賀鑑湖:賀知章のこと。秘書監をしていたので、同じく秘書監である楊万里をなぞらえた。

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