1客来読賦作雌蜺、
2平生未聞衡説詩。
3省中詩人官事了、
4狎鷗入夢心無機。
5韻髙落落懸清月、
6鏗鏘妙語春氷裂。
7一自長安識子雲、
8三嘆郢中無白雪。
9范公蕭爽思出塵、
10有客如此渠不貧。
11堂堂五字作城守、
12平章勁敵君在口。
13二公句法妙万夫、
14西来囊中蔵魯璵。
15只今擊節烏棲曲、
16不愧当年賀鑑湖。
僕が石湖に見いに往くのを送る誠斎の長句に、次韻する。
1客が来て賦を読み雌蜺と作る、
2平生、(匡)衡が詩を説くのを未聞い。
3省中の詩人は官事が了れば、
4狎れた鷗は夢に入り心に機が無い。
5韻は髙く落落として、清い月が懸かり、
6鏗鏘たる妙語に、春の氷は裂ける。
7一たび長安で子雲を識ってから、
8三たび郢中に白雪の無いことを嘆く。
9范公は蕭爽として思いは塵を出て、
10客が有て此の如であれば渠も不貧いだろう。
11堂堂たる五字は城守を作し、
12勁敵を平章すれば君が口に在る。
13二公の句法は万夫より妙であり、
14西に来た(私は)囊中に魯の璵を蔵している。
15只今、「烏棲曲」に節を擊れば、、
16当年の賀鑑湖にも不愧いだろう。
淳熙十四年(1187)春、三十三歳の作。 0誠斎:楊万里(1127~120)、字は廷秀、号は誠斎、吉州吉水(江西省吉水県)の人。このとき左司郎中として臨安にいた。『楊斎集』巻二十二に「朝天集 送姜堯章謁石湖」詩がある。 石湖:范成大(1126~1193)、字は致能(至能)、号は石湖居士、呉郡(江蘇省蘇州市)の人。このとき引退して蘇州の石湖にいた。 1作雌蜺:「雌蜺」は副虹、はっきりと見える主虹の外に薄く見える虹。楊万里の原詩に「白蜺」とあり、姜白石を誉めたのに対し、謙遜して言う。 2衡:前漢の匡衡のこと。代々農夫の家に生まれたが学問を好み、小作をして学費を捻出し、誰よりも精力的に学んだので、儒者の間で「『詩経』を語るな、匡衡がやってくる。匡衡が詩経を語れば顎が外れる」と言われるようになった。 4狎鷗入夢心無機:『列子』に、機心(機を見て活動しようと思う心。たくらみのある心)があると、鷗が近寄ってこない話がある。 7子雲:前漢の揚雄の字。楊万里を喩える。 8郢:古く楚の都だった地。 白雪:「陽春白雪」の歌。 9范公:范成大のこと。 13二公:楊万里と范成大。 14魯璵:春秋戦国時代の魯に璵璠という美しい宝玉があった。楊万里の原詩に「袖詩東来謁老夫、慚無髙價索璠璵」とあり、姜白石の詩が魯璵のように素晴らしいと誉めている。 15烏棲曲:楽府の曲。李白の「烏棲曲」を見て賀知章は「鬼神も泣くだろう」と高く評価した。 16賀鑑湖:賀知章のこと。秘書監をしていたので、同じく秘書監である楊万里をなぞらえた。
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