2022年11月28日月曜日

白石詩018余居苕溪上与白石洞天……

余居苕溪上与白石洞天為鄰潘德久字予曰白石道人且以詩見𢌿其詞曰人間官爵似摴蒱采到枯松亦大夫白石道人新拝号断無繳駁任称呼予以長句報貺

1南山仙人何所食、
2夜夜山中煮白石。
3世人喚作白石仙、
4一生費歯不費銭。
5仙人食罷腹便便、
6七十二峰生肺肝。
7真租只在南山南、
8我欲従之不憚遠。
9無方煮石何由軟、
10佳名錫我何敢辞。
11但愁自此長苦飢、
12囊中只有転庵詩。
13便当掬水三嚥之。
〈転庵德久自号云〉

 

(わたし)は苕溪の(ほとり)に居し、白石洞天()鄰で()った。潘德久が(わたし)(あざな)をつけて、白石道人と()い、(そのうえ)で詩()𢌿(あた)られ()た。其の詞に()う、人間(このよ)の官爵は摴蒱(サイコロとばく)似て(かちめ)が枯れ松に到れば亦た大夫となる。白石道人は新たに号を拝した、(ことわ)って繳駁(かえ)すこと称呼任せよ、と。(わたし)は長句()(おかえし)する。

 

1南山の仙人は何を食べている()のか、

2夜ごと夜ごと山中で白石を煮ている。

3世の人は白石仙と喚作(よんでい)るが、

4一生歯を費やすが、銭は費やすことが無い。

5仙人が食べ(おわ)ると腹は便便(ぷっくり)

6七十二峰が肺肝(はら)()きる。

7真の租は只だ南山の南に()る、

8我は之に従いたい()、遠いのは不憚(かまわな)い。

無方(すべな)く石を煮て何由(どうやって)に軟らかくできましょう、

10佳名を(わたし)(くだ)さり(どうし)て敢えて(ことわ)りましょうか。

11但だ愁うのは、()から()(うえ)に苦しむこと、

12囊中には只だ転庵(あなた)の詩だけが有る。

13便当(そこ)で水を(すく)って三たび之を()みましょう。

〈転庵德久自号して


紹熙元年(1190)、三十六歳の作。 0苕溪:浙江省西北を流れる川、太湖に注ぐ。 潘德久:潘檉、号は転庵。詩014「和転庵丹桂韻」詩がある。 1南山:姜白石の故郷のそばにある衡山(湖南省衡陽市北部)。 2煮白石:道士はよく白石を煮る。唐・韋応物「寄全椒山中道士」詩に「澗底束荊薪、帰来煮白石」とある。 6七十二峰:衡山にある峰。 13三嚥之:『孟子』「滕文公下」に「陳種子豈不廉士哉。居于陵、三日不食、耳無聞、目無見也。井上有李、螬食実者過半矣、匍匐往、将食之、三咽、然後耳有聞、目有見」とあり、「三咽」で食を求めて生きることを言う。

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