1南山仙人何所食、
2夜夜山中煮白石。
3世人喚作白石仙、
4一生費歯不費銭。
5仙人食罷腹便便、
6七十二峰生肺肝。
7真租只在南山南、
8我欲従之不憚遠。
9無方煮石何由軟、
10佳名錫我何敢辞。
11但愁自此長苦飢、
12囊中只有転庵詩。
13便当掬水三嚥之。
〈転庵德久自号云〉
余は苕溪の上に居し、白石洞天と鄰で為った。潘德久が予に字をつけて、白石道人と曰い、且で詩を𢌿えられた。其の詞に曰う、人間の官爵は摴蒱に似て、采が枯れ松に到れば亦た大夫となる。白石道人は新たに号を拝した、断って繳駁すこと無く称呼に任せよ、と。予は長句で報貺する。
1南山の仙人は何を食べているのか、
2夜ごと夜ごと山中で白石を煮ている。
3世の人は白石仙と喚作るが、
4一生歯を費やすが、銭は費やすことが無い。
5仙人が食べ罷ると腹は便便、
6七十二峰が肺肝に生きる。
7真の租は只だ南山の南に在る、
8我は之に従いたい、遠いのは不憚い。
9無方く石を煮て何由に軟らかくできましょう、
10佳名を我に錫さり何て敢えて辞りましょうか。
11但だ愁うのは、此れから長く飢に苦しむこと、
12囊中には只だ転庵の詩だけが有る。
13便当で水を掬って三たび之を嚥みましょう。
〈転庵、德久は自号して云う〉
紹熙元年(1190)、三十六歳の作。 0苕溪:浙江省西北を流れる川、太湖に注ぐ。 潘德久:潘檉、号は転庵。詩014「和転庵丹桂韻」詩がある。 1南山:姜白石の故郷のそばにある衡山(湖南省衡陽市北部)。 2煮白石:道士はよく白石を煮る。唐・韋応物「寄全椒山中道士」詩に「澗底束荊薪、帰来煮白石」とある。 6七十二峰:衡山にある峰。 13三嚥之:『孟子』「滕文公下」に「陳種子豈不廉士哉。居于陵、三日不食、耳無聞、目無見也。井上有李、螬食実者過半矣、匍匐往、将食之、三咽、然後耳有聞、目有見」とあり、「三咽」で食を求めて生きることを言う。
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