疏影 張炎
詠荷葉1碧円自潔。
2向浅洲遠浦、亭亭清絶。
3猶有遺簪、不展秋心、能巻幾多炎熱。
4鴛鴦密語同傾蓋、且莫与・浣紗人説。
5恐怨歌・忽断花風、碎却翠雲千畳。
6回首当年漢舞、怕飛去漫皺、留仙裙折。
7恋恋青衫、猶染枯香、還嘆鬢糸飄雪。
8盤心清露如鉛水、又一夜・西風吹折。
9喜静看・匹練飛光、倒瀉半湖明月。
荷の葉を詠む
1みどりでまるく清らかで。
2浅い中州と遠い入江で、さわさわと清らかに。
3まだある、残されたかんざしのような、心を開かず、たくさんの炎熱を巻くことができるような若く細い葉が。
4鴛鴦のひそひそ話は車蓋を傾けて会話する友人のよう、しばらく乙女らに話してはいけない。
5怨みの歌でふっと花風を断って、幾重のハスが折られてしまうかも知れないから。
6振り返る、あの時の漢の舞、飛び去ることを恐れてみだりに皺をつけた、「留仙裙」のひだ。
7未練がましい詩人は、まだ残り香に染められて、いまも白髪頭を嘆いている。
8金銅仙人の盤のような葉の露は涙のよう、また一晩、秋風が吹いて折られてしまった。
9静かに見るのが好きだ、一反の絹のようなハスの葉の光沢を、湖の半ばにさかさまに影を映している明月を。
蔡義江『宋詞三百首全解』注:
0疏影:「緑意」とするテキストもある。張炎『山中白雲詞』に「紅情」「緑意」二詞があり、序に「『疏影』『暗香』は姜白石が梅のためにつけた題なので、ここでは『紅情』『緑意』と改めて、ハスの花と葉を詠う」とある。 2浦:「渚」とするテキストもある。 3遺簪:巻いているハスの葉の喩え。 4傾蓋:車に乗っていて、途中で友人に会った時、車を止め車蓋を傾け、車から出て会話した。 「且莫与」句:唐の鄭谷「蓮葉」詩に「多謝浣紗人未折、雨中留得蓋鴛鴦(多謝す 紗を浣ぐ人の未だ折らざるを、雨中に留り得て鴛鴦を蓋す)」とある。 5断花風:花が開くには時期があり、二十四番花信風という。ここは花風が途絶えたことで、ハスの花が折られることをいう。 6「回首」三句:『趙后外伝』に、皇后が「帰風送遠」曲を歌うと、皇帝が文犀箸で玉甌(ほとぎ)を叩いた。酒もたけなわとなり、風がおこり、皇后は袖をあげて「仙よ仙よ、ここを去って飛んで行きたい」と言うので、皇帝は左右の者に命じてそのスカートを押さえさせた。しばらくして風が止み、スカートには皺が残った。皇后は「陛下は私を寵愛して、仙女になることをお許しくださらないのですね」と言った。後日、宮女の中にスカートの襞に皺をつける者がいて、「留仙裙」と呼ばれた、という。
※二十四番花信風:二十四節気中の小寒から穀雨に至る8節気に吹く、咲く花を知らせる風。それぞれ新たな風が吹くとして、それに花を配したもの。二十四番の風。
小寒:梅・山茶(つばき)・水仙
大寒:瑞香(じんちようげ)・蘭・山礬
立春:迎春(おうばい)・桜桃(ゆすら)・望春(こぶし)
雨水:菜・杏・李
啓蟄:桃・棣堂(やまぶき)・薔薇
春分:海棠・梨・木蘭
清明:桐・麦・柳
穀雨:牡丹・荼靡(どび)・楝(おうち)
荷の葉を詠む
1碧で円く自潔で。
2浅い洲と遠い浦で、亭亭と清絶に。
3猶だ遺された簪が有る、秋心を不展いで、幾多の炎熱を巻くことが能るような。
4鴛鴦の密語は蓋を傾けるのと同じ、且く浣紗人らに説しては莫与い。
5怨歌が忽と花風を断って、翠雲千畳を碎却うかも恐いから。
6回首る、当年の漢の舞、飛び去ることを怕れて漫に皺をつけた、「留仙裙」の折。
7恋恋しい青衫は、猶だ枯香に染められて、還も鬢糸飄雪を嘆いている。
8盤心の清露は鉛水の如、又た一夜、西風が吹いて折られてしまった。
9静かに看るのが喜きだ、匹の練のような飛光を、湖の半ばに倒まに瀉している明月を。
shū yǐng
yǒng hé yè
1 bì yuán zì jié.
2 xiàng qiǎn zhōu yuǎn pǔ,tíng tíng qīng jué.
3 yóu yǒu yí zān,bù zhǎn qiū xīn,néng juǎn jǐ duō yán rè.
4 yuān yāng mì yǔ tóng qīng gài,qiě mò yǔ、huàn shā rén shuō.
5 kǒng yuàn gē、hū duàn huā fēng,suì què cuì yún qiān dié.
6 huí shǒu dāng nián hàn wǔ,pà fēi qù màn zhòu,liú xiān qún zhé.
7 liàn liàn qīng shān,yóu rǎn kū xiāng,hái tàn bìn mì piāo xuě.
8 pán xīn qīng lù rú qiān shuǐ,yòu yí yè、xī fēng chuī zhé.
9 xǐ jìng kàn、pǐ liàn fēi guāng,dǎo xiè bàn hú míng yuè.
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