2022年10月6日木曜日

241踏莎行(呉文英)

踏莎行  呉文英

1潤玉籠綃、檀桜倚扇、繍圏猶帯脂香浅。
2榴心空畳舞裙紅、艾枝応圧愁鬟乱。

3午夢千山、窓陰一箭、香瘢新褪紅糸腕。
4隔江人在雨声中、晚風菰葉生秋怨。

1なめらかな玉の肌が薄絹をまとい、薄紅色の唇が扇にかくれ、花飾りにはまだ化粧の香りがうすく残っている。
2石榴の花がむなしく畳まれている、舞のスカートに紅色に。ヨモギの枝できっと押さえられたのだろう、愁いで乱れた鬟。

3昼の夢でみた千山、窓に弓なり月、痕が引いたばかりの、紅い糸をまきつけた腕。
4川を隔ててあの人は雨音の中にいて、晚の風にマコモの葉がゆれ、秋の怨みが生じた。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
1潤玉:女性の肌が白くなめらかなさま。 檀桜:うす紅色の唇。「檀」は浅い紅色。 繍圏:刺繍をした飾り。 2榴心:石榴。 艾枝:端午の節句に、艾(よもぎ)の葉で虎の形を作る。また、色紙で小さな虎を剪り、艾の葉につけて頭に飾る。『荊楚歳時記』に見える。 3一箭:水時計の中の箭(や)の一刻。 瘢:印、あと。 4菰:水生植物、まこも。春に筍のような芽を出し、「茭白」とも呼ばれる。秋に実をつけ、「菰米」「雕胡米」と呼ばれる。米のように食べられる。

1潤玉(しろくなめらかなはだ)が綃(うすぎぬ)を籠(まと)い、檀桜(うすべにのくちびる)が扇に倚(かく)れ、繍圏(はなかざり)には猶(ま)だ脂(けしょう)の香りが浅(うす)く帯(のこ)っている。

2榴心(ざくろのはな)が空しく畳まれている、舞の裙(スカート)に紅(くれない)に、艾(よもぎ)の枝で応(きっ)と圧(おさ)えられたのだろう、愁いで乱れた鬟。

 

3午(ひる)の夢でみた千山、窓陰(まど)に一箭(ゆみなりづき)、香瘢(あと)が新褪(ひいたばかり)の、紅い糸の腕。

4江(かわ)を隔てて人(あのひと)は雨(あま)声(おと)の中に在(い)て、晚の風に菰(まこも)の葉、秋の怨みが生じた。


tà suō xíng

1 rùn yù lǒng xiāo,tán yīng yǐ shàn,xiù quān yóu dài zhī xiāng qiǎn.
2 liú xīn kōng dié wǔ qún hóng,ài zhī yìng yā chóu huán luàn.

3 wǔ mèng qiān shān,chuān yīn yí jiàn,xiāng bān xīn tùn hóng mì wàn.
4 gé jiāng rén zài yǔ shēng zhōng,wǎn fēng gū yè shēng qiū yuàn.

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