2022年10月4日火曜日

232祝英台近(呉文英)

祝英台近  呉文英

除夜立春

1剪紅情、裁緑意、花信上釵股。
2残日東風、不放歳華去。
3有人添燭西窓、不眠侵暁、笑声転・新年鶯語。

4旧樽俎、玉繊曾擘黄柑、柔香繫幽素。
5帰夢湖辺、還迷鏡中路。
6可憐千点呉霜、寒消不尽、又相対・落梅如雨。

除夜・立春

1赤い花を切り、緑の葉を剪り、花の便りをかんざしに載せる。
2夕暮れの春風は、年の暮れの時を離さない。
3燭を西の窓辺に添える人がいる、暁になっても眠らないで、笑い声で新年の鶯の声を迎える。

4あの時の宴席、細い指でかつて蜜柑をむき、柔かい香りが秘めた思いに繋がれた。
5故郷へ帰る夢をみる湖のほとり、また鏡のような湖水の中で路に迷う。
6憐れにもたくさんの白髪、寒さも残り、また雨のように散り落ちる梅に向き合う。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
1紅情・緑意:あかい花とみどりの葉。呉文英225「宴清都 連理海棠」の注、参照。 「花信」句:『歳時風土記』に「立春の日、士大夫の家では小さな旗を剪って、家人の頭に飾ったり、花の枝にかける」とある。 3添燭西窓:李商隠「夜雨寄北」詩に「何当共剪西窓燭、却話巴山夜雨時(何か当に共に西窓の燭を剪り、却って話さん 巴山夜雨の時を)」とある。 新年鶯語:杜甫「傷春」詩に「鶯入新年語(鶯 新年に入りて語る)」とある。 4「玉繊」句:その人が席上で黄色いミカンを剥いて酒を勧めること。周邦彦「少年遊」に「繊手破新橙(繊手もて新しい橙を破る)」とある。 幽素:心中。「幽情素心」のこと。「素」は「愫(つつしむ)」に通じる。 6呉霜:白髪の喩え。李賀「還自会稽歌」に「呉霜点帰鬢、身与塘浦晩(呉霜 帰鬢に点じ、身は塘浦と与に晩る)」とある。

除夜立春

 

1紅情(はな)を剪り、緑意(は)を裁ち、花の信(たより)を釵股(かんざし)に上(の)せる。

2残日(ゆうぐれ)の東風(はるかぜ)は、歳(としのくれ)の華(とき)を不放去(はなさな)い。

3燭を西窓に添える人が有(い)る、暁に侵(な)っても不眠(ねむらな)いで、笑い声で新年の鶯の語(こえ)を転(むか)える。

 

4旧(あのとき)の樽俎(えんせき)、玉繊(ほそいゆび)で曾(かつ)て黄柑(みかん)を擘(む)き、柔かい香りが幽素(ひめたおもい)に繫った。

5帰る夢をみる湖の辺(ほとり)、還(ま)た鏡(みなも)の中で路に迷う。

6可憐(あわれ)にも千点(たくさん)の呉霜(しらが)、寒さも消不尽(のこ)り、又た雨の如(よう)に落る梅に相対(むきあ)う。


zhù yīng tái jìn

chú yè lì chūn

1 jiǎn hóng qíng,cái lǜ yì,huā xìn shàng chāi gǔ.
2 cán rì dōng fēng,bú fàng suì huá qù.
3 yǒu rén tiān zhú xī chuān,bù mián qīn xiǎo,xiào shēng zhuàn、xīn nián yīng yǔ.

4 jiù zūn zǔ,yù xiān céng bò huáng qián,róu xiāng xì yōu sù.
5 guī mèng hú biān,hái mí jìng zhōng lù.
6 kě lián qiān diǎn wú shuāng,hán xiāo bú jìn,yòu xiāng duì、luò méi rú yǔ.

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