澡蘭香 呉文英
淮安重午1盤糸繫腕、巧篆垂簪、玉隠紺紗睡覚。
2銀瓶露井、彩箑雲窓、往事少年依約。
3為当時・曾写榴裙、傷心紅綃褪萼。
4黍夢光陰、漸老汀洲煙蒻。
5莫唱江南古調、怨抑難招、楚江沈魄。
6薰風燕乳、暗雨梅黄、午鏡澡蘭簾幕。
7念秦楼・也擬人帰、応翦菖蒲自酌。
8但悵望、一縷新蟾、随人天角。
淮安の端午節
1綾糸を腕に繫ぎ、お札を簪に垂らし、あの人は青いカーテンにかくれて眠る。
2器に水汲む井戸、扇をかざす窓辺、昔の若かった頃のままに。
3あの人のために当時、赤いスカートに詩を書いたことがあった、いま石榴の赤い花が褪せるのをみると悲しい。
4つかの間の夢の時、次第にみぎわの柔らかい蒲も老いてゆく。
5江南の調べを歌うのはやめてくれ、悲しくて楚江に沈んだ魄を招くのは難しい。
6暖かい風に鶯の雛が育ち、暗い雨に梅は黄色くなる、あの人は部屋で化粧と沐浴をしているのだろうか。
7思う、たかどのでまた私が帰ってくるかと思いながら、きっと菖蒲を剪って独りで酌をしているだろう、と。
8だが私はただ眺めているだけだ、ひとすじの弓なり月が、天の果てで私に随うのを。
蔡義江『宋詞三百首全解』注:
0澡蘭香:作者の自度曲(自分で作曲した詞)。詞の中に「午鏡澡蘭簾幕」の句があることから、名づけられた。 淮安:南宋の淮南東路で、九州の一に属する。いまの江蘇淮安。 重午:陰暦五月五日の端午の節句。 1盤糸繫腕:端午の節句には、五色の糸を腕にまいて邪気を払う風習があった。応邵『風俗通義』に見える。 巧篆垂簪:釵頭符、端午の節句には篆書で記したお札を簪につけて、兵乱や災禍を避ける。『荊楚歳時記』に見える。 紺紗:空の青色をした紗のカーテン。 2銀瓶:水を汲む器。白居易に「井底引銀瓶」詩がある。 露井:亭でおおわれていない井戸。 箑:音は「霎」、また「捷」、扇子のこと。『方言』に「扇、関より東では箑という」とある。 雲窓:雲の紋様を彫刻した窓。 3曾写榴裙:赤く描いたスカート、またはスカートに字を書いた故事。『宋書』「羊欣伝」に、「羊欣が絹の裙を着て昼寝をしていたところ、王献之が訪ねてきて、その裙に数幅の書を残して去った」とある。 4黍夢:黄粱の夢。唐・沈既済「枕中記」に見える故事。 蒻:やわらかい蒲。 5江南古調:『楚辞』「招魂」などの歌。宋玉が屈原の魂を招くために作り、「魂兮帰来哀江南(魂よ帰り来れ 江南哀し)」などの語がある。 楚江沈魄:屈原が湖南汨羅で入水したこと。 6薰風:おだやかな風、東南の風。 燕乳:燕が雛を産んだこと。 梅黄:「槐黄」とするテキストもある。五月の梅の実が黄色くなる頃、雨が多いので、黄梅雨という。 午鏡:端午の日の午の刻に鋳造する鏡、俗に邪気を払うと伝えられる。白居易「新楽府 百煉鏡」中に詠われている。 澡蘭:端午の節句には、蘭で沐浴した。唐宋の時代には、端午を浴蘭節とも呼んだ。 7秦楼:『列仙伝』に、秦の穆公の娘弄玉が蕭史と簫を吹いて鳳凰を呼んだので、穆公が鳳台を築き、秦楼と呼ばれた、とある。多くは女性のいる場所をいう。 翦菖蒲:端午の節句には菖蒲を剪って酒に浮かべ、疫病を避ける。『荊楚歳時記』に見える。
淮安の重午
1盤糸を腕に繫ぎ、巧篆を簪に垂らし、玉は紺紗に隠れて睡覚る。
2銀瓶の露井、彩箑の雲窓、往事の少年の依約。
3為ら当時、曾て榴裙に写いた、紅綃が褪萼て傷心しい。
4黍の夢の光陰、漸に汀洲の煙蒻も老いる。
5江南の古調を唱うのは莫てくれ、怨抑しくて楚江に沈んだ魄を招くのは難しい。
6薰かい風に燕の乳、暗い雨に梅は黄に、簾幕では午鏡と澡蘭。
7念う、秦楼で也た人が帰るるかと擬い、応と菖蒲を剪って自で酌しているか、と。
8但だ悵望めるだけ、一縷の新蟾が、天角で人に随うのを。
zǎo lán xiāng
huái ān chóng wǔ
1 pán mì xì wàn,qiǎo zhuàn chuí zān,yù yǐn gàn shā shuì jiào.
2 yín píng lù jǐng,cǎi shà yún chuān,wǎng shì shào nián yī yuē.
3 wèi dāng shí、céng xiě liú qún,shāng xīn hóng xiāo tùn è.
4 shǔ mèng guāng yīn,jiàn lǎo tīng zhōu yān ruò.
5 mò chàng jiāng nán gǔ diào,yuàn yì nán zhāo,chǔ jiāng shěn pò.
6 xūn fēng yàn rǔ,àn yǔ méi huáng,wǔ jìng zǎo lán lián mù.
7 niàn qín lóu、yě nǐ rén guī,yìng jiǎn chāng pú zì zhuó.
8 dàn chàng wàng,yì lǚ xīn chán,suí rén tiān jiǎo.
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