花犯 呉文英
郭希道送水仙、索賦。1小娉婷、清鉛素靨、蜂黄暗偸暈。
2翠翹欹鬢。
3昨夜冷中庭、月下相認。
4睡濃更苦淒風緊。
5驚回心未穏。
6送暁色・一壺蔥蒨、才知花夢準。
7湘娥化作此幽芳、凌波路、古岸雲沙遺恨。
8臨砌影、寒香乱・凍梅蔵韻。
9熏炉畔・旋移傍枕、還又見・玉人垂紺鬒。
10料喚賞・清華池館、台杯須満引。
郭希道が水仙を送ってきて、詞を求めた。
1小さく美しく、おしろいにえくぼ、黄色くそっと額を飾っている。
2翡翠の羽が鬢に傾いて。
3昨夜の冷たい中庭、月の下で出会った。
4ぐっすりと眠っていたが、冷たい風が強くてもっと苦められて。
5はっと目覚めて、落ち着かなかった。
6明け方に壺に水仙が送られてきて、花の夢が確かなものだとようやく知った。
7湘水の女神がこの花に化した、波を踏む路に、岸に残された恨みとともに。
8きざはしに臨んだ姿は、冷たい香りがあふれ、凍った梅が気韻をかくしているよう。
9香炉のそば、枕元に移して、また見る、美しい人が黒髪を垂らすような姿を。
10おそらく送ってくれた彼の屋敷で愛でられていただろう、酒杯をきっといっぱいにして。
蔡義江『宋詞三百首全解』注:
0郭希道:作者の友人で、夢窓詞からはしばしば往来していたことが分かるが、平生の事績は不詳。 1鉛:おしろい。女性が顔にぬる化粧品。 靨:えくぼ。 蜂黄:女性が化粧に用いる黄色い顔料。六朝時代の女性は、これを額に塗って飾りとすることが多かった。 2翠翹:翡翠の尾の羽。女性の髪飾り。 欹:斜めにもたれる。 6蔥蒨:青々と茂るさま。 9紺鬒:美しい髪。空の青色を「紺」、黒々として濃いものを「鬒」という。 10清華池館:郭希道のいるところ。朱孝臧『夢窓詞小箋』に「清華は希道のことではないか」とある。夢窓集に「婆羅門引 郭清華席上」「絳都春 為郭清華内子寿」「絳都春 往来清華池館六年」「喜遷鶯 過希道家看牡丹」「花心動 郭清華新軒」「声声慢 飲郭園」諸作品がある。 台杯:大小セットになった一組の杯をいう。楊鉄夫箋に「山堂肆考」を引いて「世に水仙を金盞銀台という」とある。
郭希道が水仙を送ってきて、賦を索めた。
1小さく娉婷しく、清鉛に素靨、蜂黄で暗偸と暈っている。
2翠の翹が鬢に欹く。
3昨夜の冷たい中庭、月の下で相認った。
4濃と睡っていたが、淒風が緊くて更と苦められて。
5驚回心めて未穏かった。
6暁色に一壺の蔥蒨が送られて、花の夢が準かだと才く知った。
7湘の娥が此の幽芳に化作った、波を凌む路、古岸雲沙に遺された恨みと。
8砌に臨んだ影は、寒たい香りが乱れ、凍った梅が韻を蔵している。
9熏炉の畔、傍枕に旋移して、還又た見る、玉人が紺鬒を垂らすのを。
10料く清華の池館で喚賞られただろう、台杯を須と満引にして。
huā fàn
guō xī dào sòng shuǐ xiān,suǒ fù.
1 xiǎo pīng tíng,qīng qiān sù yè,fēng huáng àn tōu yūn.
2 cuì qiào qī bìn.
3 zuó yè lěng zhōng tíng,yuè xià xiāng rèn.
4 shuì nóng gèng kǔ qī fēng jǐn.
5 jīng huí xīn wèi wěn.
6 sòng xiǎo sè、yì hú cōng qiàn,cái zhī huā mèng zhǔn.
7 xiāng é huà zuò cǐ yōu fāng,líng bō lù,gǔ àn yún shā yí hèn.
8 lín qì yǐng,hán xiāng luàn、dòng méi cáng yùn.
9 xūn lú pàn、xuàn yí bàng zhěn,hái yòu jiàn、yù rén chuí gàn zhěn.
10 liào huàn shǎng、qīng huá chí guǎn,tái bēi xū mǎn yǐn.
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