2022年10月10日月曜日

272長亭怨慢(王沂孫)

長亭怨慢  王沂孫

重過中庵故園

1泛孤艇・東皋過遍。
2尚記当日、緑陰門掩。
3屐齒莓苔、酒痕羅袖事何限。
4欲尋前跡、空惆悵・成秋苑。
5自約賞花人、別後総・風流雲散。

6水遠。
7怎知流水外、却是乱山尤遠。
8天涯夢短、想忘了・綺疏雕檻。
9望不尽・苒苒斜陽、撫喬木・年華将晚。
10但数点紅英、猶識西園淒婉。

再び中庵の庭を通りかかる

1船を浮かべて、東の岸をあまねく通りかかる。
2まだ覚えている、あの日、木陰に門がおおわれていた。
3苔にくつのあと、酒のあとは薄絹の袖に浸み、楽しみ事は限りなく。
4むかし遊んだあとを訪ねようとして、むなしく嘆く、秋の庭のようになっていることを。
5花を賞でる約束をした人は、別れた後はすべて、風が流れ雲が散るよう。

6川は遙か遠くへ流れる。
7分かるはずもない、流れの向こう、思いがけず山々はもっと遙か遠いとは。
8天の果てで見る夢は短い、故郷の窓や手すりを忘れてしまったのかと思う。
9見渡す限りのやわらかい夕日が、喬木を撫でる、年は暮れようとしている。
10ただいくつかの赤い花びらだけは、まだ荒れはてた西園を知っている。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
0中庵:唐圭璋箋に「元の劉敏中、号は中庵、『中庵楽府』がある」といい、王筱芸は「中庵、あるいは元の劉敏中か。ただ劉敏中は金から元に入った人で、その詞と『元史』に載せられている事績を見るに、碧山(王沂孫)とは交渉がなかったようである。この中庵は別人で、碧山の友人かも知れず、事績は不明」(『唐宋詞鑑賞辞典』2246頁)という。 4成秋苑:李賀「河南府試十二月楽詞」に「梨花落尽成秋苑(梨花落ち尽くして秋苑と成る)」とある。

重(ふたた)び中庵の故園(にわ)を過(とおりかか)る

 

1孤艇(ふね)を泛(うか)べて、東の皋(きし)を遍(あまね)く過(とおりかか)る。

2尚(ま)だ記(おぼ)えている、当日(あのひ)、緑陰(こかげ)に門が掩れていた。

3莓苔(こけ)に屐齒(くつのあと)、酒の痕(あと)は羅(うすぎぬ)の袖に、事(たのしみ)は何限(かぎりな)く。

4前(むかし)の跡を尋ねよう(欲)として、空しく惆悵(なげ)く、秋の苑(にわ)のように成っていることを。

5自(おのずか)ら花を賞でる約(やくそく)をした人は、別れた後は総(すべ)て、風流れ雲散るよう。

 

6水(かわ)は遠(はる)かに。

7怎知(わかるはずもな)い、流水(ながれ)の外(むこう)、却是(おもいがけ)ず乱山(やまやま)が尤(もっ)と遠(はる)かとは。

8天涯(てんのはて)の夢は短い、綺疏(まど)や雕檻(てすり)を忘了(わすれてしまっ)たと想う。

9望不尽(みわたすかぎり)の苒苒(やわらか)い斜陽(ゆうひ)、喬木を撫でる、年華(とし)は晩(く)れよう(将)としている。

10但(た)だ数点(いくつか)の紅(あか)い英(はなびら)だけは、猶(ま)だ淒婉(あれはて)た西園を識(し)っている。


cháng tíng yuàn màn

zhòng guò zhōng ān gù yuán

1 fàn gū tǐng、dōng gāo guò biàn.
2 shàng jì dāng rì,lǜ yīn mén yǎn.
3 jī chǐ méi tái,jiǔ hén luó xiù shì hé xiàn.
4 yù xún qián jì,kōng chou chàng、chéng qiū yuàn.
5 zì yuē shǎng huā rén,bié hòu zǒng、fēng liú yún sàn.

6 shuǐ yuǎn.
7 zěn zhī liú shuǐ wài,què shì luàn shān yóu yuǎn.
8 tiān yá mèng duǎn,xiǎng wàng liǎo、qǐ shū diāo jiàn.
9 wàng bú jìn、rǎn rǎn xié yáng,fǔ qiáo mù、nián huá jiāng wǎn.
10 dàn shǔ diǎn hóng yīng,yóu shí xī yuán qī wǎn.

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