2022年10月2日日曜日

216賀新郎(劉克荘)

賀新郎  劉克荘

九日

1湛湛長空黒、更那堪・斜風細雨、乱愁如織。
2老眼平生空四海、頼有高楼百尺。
3看浩蕩・千崖秋色。
4白髮書生神州涙、尽淒涼・不向牛山滴。
5追往事、去無跡。

6少年自負凌雲筆。
7到而今・春華落尽、満懐蕭瑟。
8常恨世人新意少、愛説南朝狂客。
9把破帽・年年拈出。
10若対黄花孤負酒、怕黄花・也笑人岑寂。
11鴻北去、日西匿。

九日

1深々と空は暗い、さらに堪えられない、吹きつける風と細かな雨、織るように乱れる愁い。
2老眼でいつものように四海を見渡す、高楼が百尺あるのを頼りに。
3広々と千崖の秋の気配を看る。
4白髮の私は都のために涙する、どこもかしこもわびしい、牛山に涙するわけではなくて。
5昔の事を追っても、あとかたもなく去ってしまった。

6若い頃は凌雲の筆を自負していた。
7今となっては、才能は涸れ果て、胸をわびしさが満たすだけ。
8いつも世の人が新味の少ないことを恨み、南朝の狂客のことを好んで話す。
9破れた帽子の話を、くる年もくる年もひねり出して。
10もし黄菊に向かって酒を飲まなければ、おそらく黄菊もまた私を寂しいことだと笑うだろう。
11雁は北へ去り、日は西にかくれた。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
0九日:農暦の九月九日、重陽の節句。 1湛湛:深いさま。ここは夜の暗いこと。 4不向牛山滴:死にたくないがために涙を流すのではないこと。『呂氏春秋』に「景公が牛山に遊び、北にある国城を眺めて涙を流し、『どうしてもこの国を去って死んでしまうのだろうか』と言った」とある。杜牧「九日斉山登高」詩に「古往今来只如此、牛山何必独沾衣(古往今来 只だ此くの如し、牛山 何ぞ必ずしも独り衣を沾さん)」とある。牛山は、今の山東臨淄の南。 6凌雲筆:詩文を作る大きな筆。『史記』「司馬相如伝」に見える語。杜甫「戯為六絶句」に「庾信文章老更成、凌雲健筆意縦横(庾信の文章 老いて更に成る、凌雲の健筆 意 縦横)」とある。 8南朝狂客:晋の孟嘉を指す。桓温の重陽の龍山での宴会に参加し、風が吹いて帽子を落としても気づかなかった。『晋書』「孟嘉伝」に見える。 9破帽:蘇軾が重九を詠んだ「南郷子」詞で「破帽多情却恋頭」と、孟嘉が帽子を落とした故事を反転させて用いたことに拠る。

九日

 

湛湛(ふかぶか)長空(そら)(くら)い、更に(どうし)て堪えられよう、(ふきつけ)る風と細かな雨、織る(よう)に乱れる愁い。

2老眼で平生(いつも)のように四海を(みわた)す、高楼が百尺有るのを頼りに。

浩蕩(ひろびろ)と千崖の秋の(けはい)()る。

4白髮の書生(わたし)神州(みやこ)のために涙する、(どこもかしこ)淒涼(わび)しい、牛山に(なみだ)する不向(わけではな)くて。

往事(むかしのこと)を追うが、無跡(あとかたもな)く去った。

 

少年(わかいころ)は凌雲の筆を自負していた。

而今(いま)()っては、春華(さいのう)落尽(かれは)て、(むね)蕭瑟(わびしさ)が満たすだけ。

(いつ)も世の人が新意(あたらしみ)の少ないことを恨み、南朝の狂客のことを(この)んで(はな)

9破れた(ぼうし)()、くる年もくる年も(ひね)り出して。

10()黄花(きぎく)(むか)って酒を孤負(のま)なければ、(おそら)黄花(きぎく)()(わたし)岑寂(さび)しいと笑うだろう。

11(かり)は北へ去り、日は西に(かく)れた。


hè xīn láng

jiǔ rì

1 zhàn zhàn cháng kōng hēi,gèng nǎ kān、xié fēng xì yǔ,luàn chóu rú zhī.
2 lǎo yǎn píng shēng kōng sì hǎi,lài yǒu gāo lóu bǎi chǐ.
3 kàn hào dàng、qiān yái qiū sè.
4 bái fà shū shēng shén zhōu lèi,jìn qī liáng、bú xiàng niú shān dī.
5 zhuī wǎng shì,qù wú jī.

6 shào nián zì fù líng yún bǐ.
7 dào ér jīn、chūn huá luò jìn,mǎn huái xiāo sè.
8 cháng hèn shì rén xīn yì shǎo,ài shuō nán cháo kuáng kè.
9 bǎ pò mào、nián nián niān chū.
10 ruò duì huáng huā gū fù jiǔ,pà huáng huā、yě xiào rén cén jì.
11 hóng běi qù,rì xī nì.

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