2022年10月1日土曜日

213八帰(史達祖)

八帰  史達祖

1秋江帯雨、寒沙縈水、人瞰画閣愁独。
2煙蓑散響驚詩思、還被乱鷗飛去、秀句難続。
3冷眼尽帰図画上、認隔岸・微茫雲屋。
4想半屬・漁市樵村、欲暮竟燃竹。

5須信風流未老、憑持尊酒、慰此淒涼心目。
6一鞭南陌、幾篙官渡、頼有歌眉舒緑。
7只匆匆眺遠、早覚閑愁掛喬木。
8応難奈・故人天際、望徹淮山、相思無雁足。

1秋の川は雨を帯び、冷たい岸に水はめぐり、私はたかどのから眺めて独り愁う。
2けぶる漁師は網かける音を立てて詩人の心を驚かせ、また群れる鷗に飛び去られて、秀句も続き難い。
3冷たいまなざしで美しい景色を見尽くし、岸を隔ててかすむ雲間の家を認める。
4想う、漁師の市と樵の村になかば屬するところ、夜も遅くに竹を燃やそうとしているのだろう、と。

5信じるべきだ、風流は衰えていない、酒を持って、このわびしい気持ちを慰められる、と。
6馬に鞭くれて南の通りへ行く、渡し場をどれくらい渡ったろう、美しい歌姫がいるのを頼りに。
7ただそそくさと眺めれば、静かな愁いが喬木に掛かることに早くも気づく。
8きっとどうしようもない、友は天の果て、淮山を眺め尽くしても、思いを綴る手紙は来ない。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
1瞰:俯瞰する。 4「欲暮」句:柳宗元「漁翁」詩に「漁翁夜傍西岩宿、暁汲清湘燃楚竹(漁翁 夜 西岩に傍いて宿し、暁に淸湘に汲みて楚竹を燃く)」とある。 5憑持尊酒:「憑持酒」とするテキストや、「憑誰持酒」とするテキストもある。 6歌眉舒緑:黛をながくひいた眉の歌女が歌う。古代は、黛緑(まゆずみ)で眉を描いた。 8奈:「禁」とするテキストもある。 雁足:手紙をいう。

1秋の江(かわ)は雨を帯び、寒(つめ)たい沙(きし)に水は縈(めぐ)り、人(わたし)は画閣(たかどの)から瞰(なが)めて独り愁う。

2煙(けぶ)る蓑(りょうし)は響(あみかけるおと)を散(た)てて詩思(しじんのこころ)を驚かせ、還(ま)た乱(むれ)る鷗に飛び去られ(被)て、秀句も続き難い。

3冷たい眼(まなざし)で図画(うつくしいけしき)の上を尽帰(みつく)し、岸を隔てて微茫(かす)む雲の屋(いえ)を認める。

4想う、漁(りょうし)の市と樵の村に半ば屬するところ、暮(よる)も竟(おそ)くに竹を燃やそう(欲)とするのか、と。

 

5信じるべき(須)だ、風流は未老(おとろえていな)い、尊酒(さけ)を憑持(もっ)て、此(こ)の淒涼(わび)しい心目(きもち)を慰められると。

6一鞭(うまにむちくれ)る南陌(みなみのとおり)、官渡(わたしば)を幾篙(いくさお)、歌眉舒緑(うつくしいうたひめ)が有(い)るのを頼りに。

7只(た)だ匆匆(そそくさ)と眺遠(ながめ)れば、閑(しず)かな愁いが喬木に掛かることに早くも覚(きづ)く。

8応(きっ)と難奈(どうしようもな)い、故人(とも)は天際(てんのはて)、淮山を望(なが)め徹(つ)くしても、相思(おもい)をつづる雁足(てがみ)は無い。


bā guī

1 qiū jiāng dài yǔ,hán shā yíng shuǐ,rén kàn huà gé chóu dú.
2 yān suō sàn xiǎng jīng shī sī,hái bèi luàn ōu fēi qù,xiù jù nán xù.
3 lěng yǎn jìn guī tú huà shàng,rèn gé àn、wēi máng yún wū.
4 xiǎng bàn shǔ、yú shì qiáo cūn,yù mù jìng rán zhú.

5 xū xìn fēng liú wèi lǎo,píng chí zūn jiǔ,wèi cǐ qī liáng xīn mù.
6 yì biān nán mò,jǐ gāo guān dù,lài yǒu gē méi shū lǜ.
7 zhǐ cōng cōng tiào yuǎn,zǎo jué xián chóu guà qiáo mù.
8 yìng nán nài、gù rén tiān jì,wàng chè huái shān,xiāng sī wú yàn zú.

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