2022年10月1日土曜日

211夜合花(史達祖)

夜合花  史達祖

1柳鎖鶯魂、花翻蝶夢、自知愁染潘郎。
2軽衫未攬、猶将涙点偸蔵。
3念前事、怯流光、早春窺、酥雨池塘。
4向消凝裏、梅開半面、情満徐妝。

5風糸一寸柔腸、曾在歌辺惹恨、燭底縈香。
6芳機瑞錦、如何未織鴛鴦。
7人扶酔、月依牆、是当初・誰敢疏狂。
8把閑言語、花房夜久、各自思量。

1柳は鶯の魂を閉じ込め、花は蝶の夢を翻し、愁いが潘郎のような私を白髪に染めたことを、みずから知る。
2うすい衣はまだ着ない、まだ涙をそっとかくすから。
3昔を思う、時の流れに怯えた、早春は窺っていた、なめらかな雨ふる池を。
4思い詰めているうちに、梅は半面だけ開き、思いは徐妃の粧いに満ちて。

5風とこぬか雨に一寸の心は、かつて歌うそばで恨みを抱いた、灯火の下で香りをめぐらせて。
6機織る錦、どうして鴛鴦を織らないのか。
7人は酔ってふらつき、月は垣根にかかっていた、あの時、誰が敢えて奔放にふるまえただろう。
8ひそひそ話で、部屋の夜は更ける、それぞれが思いながら。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
1「柳鎖」二句:柳は鶯の夢に届かず、花は蝶の夢に帰る。柳が枯れ花が散る季節になったこと。 潘郎:潘岳、借りて自分のこと。ここは「潘鬢」の意。徐伸147「二郎神」の「潘鬢」の注、参照。 3酥雨:韓愈「早春呈水部張十八員外」詩に「天街小雨潤如酥、草色遙看近却無(天街の小雨 潤うこと酥の如く、草色遙かに看るも近づけば却って無し)」とある。「酥」はバター。 4消凝:魂を消し神経を凝らすこと。 「梅開」二句:『南史』「梁元帝徐妃伝」に「妃は帝の片目が見えないので、帝が来る時には必ず顔の半分だけ化粧をして待っていた。帝はそれを見て、大いに怒って去った」とある。

1柳は鶯の魂を(とじこ)め、花は蝶の夢を翻し、愁いが潘郎(わたし)を染めたことを(みずか)ら知る。

(うす)(ころも)未攬(まだきな)い、()涙点(なみだ)()(そっ)(かく)すから。

前事(むかし)(おも)う、流光(ときのながれ)に怯えた、早春は窺っていた、酥雨(なめらかなあめ)ふる池塘(いけ)を。

消凝(おもいつめ)ている(うち)()、梅は半面だけ開き、(おもい)(きさき)(よそおい)に満ちて。

 

5風と(こぬかあめ)に一寸の柔腸(こころ)は、(かつ)て歌う(そば)()恨みを()いた、(ともしび)(した)で香りを(めぐ)らせて

芳機(はたお)瑞錦(にしき)如何(どうし)て鴛鴦を未織(おらな)いのか。

7人は酔って(ふらつ)き、月は(かきね)(かか)っていた、是当初(あのとき)、誰が敢えて疏狂(ほんぽう)に。

閑言語(ひそひそばなし)()花房(へや)の夜は()ける、各自(それぞれ)思量(おも)いながら。


yè hé huā

1 liǔ suǒ yīng hún,huā fān dié mèng,zì zhī chóu rǎn pān láng.
2 qīng shān wèi lǎn,yóu jiāng lèi diǎn tōu cáng.
3 niàn qián shì,qiè liú guāng,zǎo chūn kuī,sū yǔ chí táng.
4 xiàng xiāo níng lǐ,méi kāi bàn miàn,qíng mǎn xú zhuāng.

5 fēng mì yí cùn róu cháng,céng zài gē biān rě hèn,zhú dǐ yíng xiāng.
6 fāng jī ruì jǐn,rú hé wèi zhī yuān yāng.
7 rén fú zuì,yuè yī qiáng,shì dāng chū、shuí gǎn shū kuáng.
8 bǎ xián yán yǔ,huā fáng yè jiǔ,gè zì sī liáng.

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