2022年9月30日金曜日

209三姝媚(史達祖)

三姝媚  史達祖

1煙光搖縹瓦、望晴檐多風、柳花如酒。
2錦瑟横床、想涙痕塵影、鳳弦常下。
3倦出犀帷、頻夢見・王孫驕馬。
4諱道相思、偸理綃裙、自驚腰衩。

5惆悵南楼遙夜、記翠箔張灯、枕肩歌罷。
6又入銅駝、遍旧家門巷、首詢声価。
7可惜東風、将恨与閑花俱謝。
8記取崔徽模様、帰来暗写。

1靄と光が瑠璃瓦に揺れる、見渡す、晴れたひさしに豊かな風、柳のわたは注ぐよう。
2瑟は床に置かれている、思う、涙の痕と塵の影、鳳の弦は常に下ろされていたのかと。
3部屋から出るのもけだるく、しきりに王孫(私)の帰りを夢見ていただろう。
4思いを言うのは憚られ、こっそりと絹のスカートを整えれば、痩せたことに独り驚く。

5南楼での遠い夜を悲しむ、思い出す、カーテンと灯火、私の肩を枕に歌い終えた。
6また通りに入り、昔の家々をめぐり、まずあの人の消息を訊ねる。
7惜しむらくは春風が、恨みを花と一緒に散らせたこと。
8崔徽のようなあの人の姿を覚えて、帰って来てひそかに写そう。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
1縹瓦:瑠璃瓦。 2塵影:塵のあと。王褒「長安道」に「樹陰連袖色、塵影染衣風(樹陰 袖色に連なり、塵影 衣風に染まる)」とある。 3犀帷:犀の角で飾ったカーテン。 王孫:帰ってきて欲しい人の代名詞。 4腰衩:腰周りと解した。「衩」は衣の下端の両脇を裂いて縫ったもの。 6銅駝:洛陽の通りの名前。借りて臨安の通りをいう。 声価:ここは関係のある妓女の消息をいう。 8崔徽:元稹「崔徽歌」序に「崔徽は河中府の娼妓である。裴敬中が興元の幕として蒲州に使いした時に、崔徽と知り合って数ヶ月過ごした。裴敬中が帰る時に、ついて行けないことを恨みに思い、病気になった。丘夏に頼んで肖像画を描いてもらい、裴敬中に『崔徽は画中の人に及ばず、あなたのために死にます』といって発狂して死んだ。『麗情集』に見える。

1煙(もや)と光が縹瓦(るりがわら)に搖れる、望(みわた)す、晴れた檐(ひさし)に多(ゆた)かな風、柳花(やなぎのわた)は洒(そそ)ぐ如(よう)。

2錦瑟(こと)は床に横(お)かれている、想う、涙の痕と塵の影、鳳の弦は常に下ろされていたのかと。

3犀帷(へや)から出るのも倦(ものう)く、頻(しきり)に王孫(わたし)の驕馬(かえり)を夢見ていただろう。

4相思(おもい)を道(い)うのは諱(はばか)られ、偸(こっそり)と綃(きぬ)の裙(スカート)を理(ととの)えれば、腰衩(やせ)たことに自(ひと)り驚く。

 

5南楼での遙(とお)い夜を惆悵(かな)しむ、記(おもいだ)す、翠箔(カーテン)と張灯(ともしび)、肩を枕に歌い罷(お)えた。

6又(ま)た銅駝(とおり)に入り、旧家門巷(むかしのいえいえ)を遍(めぐ)り、首(ま)ず声価(しょうそく)を詢(たず)ねる。

7可惜(おしむら)くは東風(はるかぜ)が、恨みを(将)閑花(はな)と(与)俱(いっしょ)に謝(ち)らせたこと。

8崔徽(あのひと)の模様(すがた)を記取(おぼえ)て、帰って来て暗(ひそ)かに写そう。


sān shū mèi

1 yān guāng yáo piǎo wǎ,wàng qíng yán duō fēng,liǔ huā rú jiǔ.
2 jǐn sè héng chuáng,xiǎng lèi hén chén yǐng,fèng xián cháng xià.
3 juàn chū xī wéi,pín mèng jiàn、wáng sūn jiāo mǎ.
4 huì dào xiāng sī,tōu lǐ xiāo qún,zì jīng yāo chài.

5 chou chàng nán lóu yáo yè,jì cuì bó zhāng dēng,zhěn jiān gē bà.
6 yòu rù tóng tuó,biàn jiù jiā mén xiàng,shǒu xún sheng jià.
7 kěxī dōng fēng,jiāng hèn yǔ xián huā jù xiè.
8 jì qǔ cuī huī mú yàng,guī lái àn xiě.

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