2022年9月30日金曜日

208喜遷鶯(史達祖)

喜遷鶯  史達祖

1月波疑滴、望玉壺天近、了無塵隔。
2翠眼圏花、冰糸織練、黄道宝光相直。
3自憐詩酒瘦、難応接許多春色。
4最無頼、是随香趁燭、曾伴狂客。

5蹤跡、漫記憶、老了杜郎、忍聴東風笛。
6柳院灯疏、梅庁雪在、誰与細傾春碧。
7旧情拘未定、猶自学・当年遊歴。
8怕万一、誤玉人・夜寒簾隙。

1月の光はしずくに似て、月を見上げると天は近く、塵や埃が少しもないかのよう。
2さまざまな花灯籠、冰の糸で絹を織り、御成道はキラキラと照らされている。
3独り憐れむ、詩と酒で瘦せて、あまたの春の景色を迎え難いことを。
4とりわけつまらないこと、それは香と燭を持って、かつては狂客を伴ったこと。

5どこだったか、むやみに思い出す、杜さん(私)は老いて、春風に中で笛を聴くのがつらい。
6柳の庭に灯はまばら、梅の建物に雪は残り、誰が一緒に春の酒を味わってくれようか。
7昔の思いはつなぎ止められない、まだ独りあの時遊んだところをなぞる。
8万一を恐れている、寒い夜に簾の隙からあの人がのぞいているのに、見過ごすのではないか、と。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
1玉壺:月をいう。 2翠眼圏花:未詳。唐圭璋『宋詞三百首箋注』に「さまざまな花灯籠か」とあり、いまそれに従う。 黄道:古代の人は太陽が地球を回って運行していると考え、その軌道を黄道と呼んだ。また日が常に皇帝に喩えられることから、皇帝の巡遊する道も黄道という。 相直:相対する。 5杜郎:杜牧。ここは借りて作者をいう。 6春碧:酒をいう。緑色をした酒。

1月の(ひかり)(しずく)()て、玉壺(つき)(みあげ)ると天は近く、塵隔(ちりほこり)了無(すこしもな)いかのよう。

翠眼(さまざま)圏花(はなどうろう)、冰の糸で(きぬ)を織り、黄道(おなりみち)宝光(きらきら)相直(てら)されている。

(ひと)り憐れむ、詩と酒で瘦せて、許多(あまた)の春の(けしき)応接(むか)え難いことを。

4最も無頼(つまらな)いこと、(それ)は香と燭を随趁()って、(かつ)ては狂客を伴ったこと。

 

蹤跡(どこだったか)(むやみ)記憶(おもいだ)す、杜郎(わたし)老了()いて、東風(はるかぜ)に笛を聴くのが(つら)い。

6柳の(にわ)に灯は(まば)ら、梅の(たてもの)に雪は(のこ)り、誰が(いっしょ)に春の(さけ)細傾(あじわ)うか。

(むかし)(おもい)拘未定(つなぎとめられな)い、()(ひと)当年(あのとき)の遊んだ(ところ)(なぞ)る。

8万一を(おそ)れて、寒い夜に簾の隙にいる玉人を(みすご)すことを。


xǐ qiān yīng

1 yuè bō yí dī,wàng yù hú tiān jìn,le wú chén gé.
2 cuì yǎn quān huā,bīng mì zhī liàn,huáng dào bǎo guāng xiāng zhí.
3 zì lián shī jiǔ shòu,nán yìng jiē xǔ duō chūn sè.
4 zuì wú lài,shì suí xiāng chèn zhú,céng bàn kuáng kè.

5 zōng jì,màn jì yì,lǎo liǎo dù láng,rěn tīng dōng fēng dí.
6 liǔ yuàn dēng shū,méi tīng xuě zài,shéi yǔ xì qīng chūn bì.
7 jiù qíng jū wèi dìng,yóu zì xué、dāng nián yóu lì.
8 pà wàn yī,wù yù rén、yè hán lián xì.

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