2022年9月30日金曜日

207東風第一枝(史達祖)

東風第一枝  史達祖

春雪

1巧沁蘭心、偸黏草甲、東風欲障新暖。
2漫疑碧瓦難留、信知暮寒猶浅。
3行天入鏡、做弄出・軽松繊軟。
4料故園・不巻重簾、誤了乍来双燕。

5青未了・柳回白眼、紅欲断・杏開素面。
6旧遊憶著山陰、後盟遂妨上苑。
7寒炉重熨、便放漫・春衫針線。
8怕鳳靴・挑菜帰来、万一灞橋相見。

春の雪

1巧みに蘭の芯に沁み、こっそりと草の葉に貼りつき、春風は生じたばかりの暖かさを遮ろうとする。
2どうやら、瓦には留まりづらいようだ、暮れの寒さはまだ浅いと十分に分かる。
3空を行き池に入り、軽くゆったりと細く柔らかく、降っている。
4きっと故郷の庭では、幾重もの簾を巻かないで、来たばかりのつがいの燕が巣作りするのを邪魔しているだろう。

5青く続いていた柳は白い芽にもどり、赤さを断たれようとして杏は白い顔をのぞかせる。
6昔の遊び、山陰の王子猷を思う、後の誓い、遂に司馬相如のように苑に行くのを妨げる。
7寒々した炉を再び温めると、そのままゆっくりになる、春の衣を縫う針と糸。
8心配する、あの人が菜をつんで帰って来るとき、もしや灞橋で雪に会いやしまいか、と。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
3行天入鏡:韓愈「春雪」詩に「入鏡鸞窺沼、行天馬度橋(鏡に入って鸞は沼を窺い、天を行きて馬は橋を度る)」とある。 5青未了:青色が続くさま。杜甫「望岳」詩に「斉魯青未了(斉齊 靑未だ了らず)」とある。 6「旧遊」句:『世説新語』「任誕」に「王子猷は山陰にいて、夜に大雪が降り……、戴安道に会いたくなった。この時、戴安道は剡にいたので、夜に小船に乗って行き、一晩かかってやっと着いたが、門前で引き返した。ある人が理由を尋ねると、興に乗じて来ただけだから、興が尽きたら帰るまでのこと、会う必要はあるまい、と答えた」とある。 8挑菜:二月二日は挑菜節(仕女が郊外へ出て菜を摘む節句)。 灞橋:陝西長安県東。鄭綮はかつて「詩思は灞橋の風雪の中、驢子の上に在り、此れ何を以て之を得ん」と言った。

春の雪

 

1巧みに蘭の(しん)に沁み、(こっそり)草の()()りつき東風(はるかぜ)は新しい暖かさを障ぎろう()とする。

漫疑(どうやら)碧瓦(かわら)には留まり(づら)いようだ、暮れの寒さは()だ浅いと(じゅうぶん)()かる。

(そら)を行き(いけ)に入り、軽く(ゆったり)(ほそ)く軟かく、做弄出()ている。

(きっ)(ふるさと)(にわ)では、(いくえ)もの簾を不巻(まかな)いで、来た(ばか)りの双燕(つがいのつばめ)誤了(じゃま)している。

 

5青く未了(つづ)く柳は白い()(もど)り、(あか)さを断たれよう()として杏は(しろ)(かお)(のぞか)せる。

(むかし)の遊び、山陰を憶著(おも)う、後の(ちか)い、遂に苑に()くを妨げる。

7寒々した炉を(ふたた)(あたた)めると、便(そのま)放漫(ゆっくり)と、春の(ころも)の針と(いと)

(しんぱい)する、鳳靴(あのひと)が菜を()んで帰って来るとき、万一(もし)や灞橋で相見()いやしまいか、と。


dōng fēng dì yī zhī

chūn xuě

1 qiǎo qìn lán xīn,tōu nián cǎo jiǎ,dōng fēng yù zhàng xīn nuǎn.
2 màn yí bì wǎ nán liú,xìn zhī mù hán yóu qiǎn.
3 xíng tiān rù jìng,zuò nòng chū、qīng sōng xiān ruǎn.
4 liào gù yuán、bù juǎn zhòng lián,wù liǎo zhà lái shuāng yàn.

5 qīng wèi liǎo、liǔ huí bái yǎn,hóng yù duàn、xìng kāi sù miàn.
6 jiù yóu yì zhe shān yīn,hòu méng suì fáng shàng yuàn.
7 hán lú zhòng yùn,biàn fàng màn、chūn shān zhēn xiàn.
8 pà fèng xuē、tiāo cài guī lái,wàn yī bà qiáo xiāngj iàn.

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