2022年9月30日金曜日

205綺羅香(史達祖)

綺羅香  史達祖

詠春雨

1做冷欺花、将煙困柳、千里偸催春暮。
2尽日冥迷、愁裏欲飛還住。
3驚粉重・蝶宿西園、喜泥潤・燕帰南浦。
4最妨他・佳約風流、鈿車不到杜陵路。

5沈沈江上望極、還被春潮晚急、難尋官渡。
6隠約遙峰、和涙謝娘眉嫵。
7臨断岸・新緑生時、是落紅・帯愁流処。
8記当日・門掩梨花、翦灯深夜語。

春の雨を詠む

1寒くなって花を欺き、靄で柳を眠らせ、千里もこっそりと春の暮れを促す。
2ひがなぼんやりと、愁いのうちで飛ぼうとしては、また留まる。
3粉が重くなったのに驚いて、蝶は西園で宿り、泥が潤うのを喜んで、燕は南浦に帰る。
4とりわけ雨が邪魔するのは、約束した風流な男女、車は杜陵の路まで行けない。

5静かな川のほとりで眺めやれば、また春の潮が晚に急なせいで、渡し場をさがすのが難しい。
6ひっそりした遠い峰、謝娘の眉が涙を含むかのような。
7断崖に近づくと、新緑が生える時、それは散った花びらが愁いを帯びて流れる処。
8思い出す、あの日、門は梨の花で閉ざされ、灯の芯を切りながら深夜まで語った。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
4鈿車:金の花で飾った車。 杜陵:今の陝西長安県東南。 5春潮晚急:韋応物「滁州西澗」詩に「春潮帯雨晩来急、野渡無人舟自横(春潮 雨を帯て晩来急に、野渡 人無くして  舟 自ら橫たう)」とある。 官渡:役所が船を置いて人を渡らせるところ。 6謝娘:広く唐宋時代の女子の名。 眉嫵:眉の化粧、眉の形。「嫵」は「嫵媚(美しくなまめかしい)」の派生義。

 

春の雨を詠む

 

1冷(さむ)く做(な)って花を欺(あざむ)き、煙(もや)で(将)柳を困(ねむ)らせ、千里も偸(こっそり)と春の暮れを催(うなが)す。

2尽日(ひがな)冥迷(ぼんやり)と、愁いの裏(うち)で飛ぼう(欲)としては還(ま)た住(とどま)る。

3粉が重くなったのに驚いて、蝶は西園で宿り、泥が潤うのを喜んで、燕は南浦に帰る。

4最も他(あめ)が妨(じゃま)するのは、佳約(やくそく)した風流、鈿車(くるま)は杜陵の路に不到(つけな)い。

 

5沈沈(しずか)な江(かわ)の上(ほとり)で望極(ながめや)れば、還(ま)た春の潮が晚に急なせい(被)で、官渡(わたしば)を尋(さが)すのが難しい。

6隠約(ひっそり)した遙(とお)い峰、謝娘の眉嫵(まゆ)が涙を和(ふく)む。

7断岸(だんがい)に臨(ちかづ)くと、新緑が生える時、是(それ)は落(ち)った紅(はなびら)が愁いを帯びて流れる処。

8記(おもいだ)す、当日(あのひ)、門は梨の花で掩(とざ)され、灯を翦りながら深夜まで語った。


qǐ luó xiāng

yǒng chūn yǔ

1 zuò lěng qī huā,jiāng yān kùn liǔ,qiān lǐ tōu cuī chūn mù.
2 jìn rì míng mí,chóu lǐ yù fēi hái zhù.
3 jīng fěn zhòng、dié sù xī yuán,xǐ ní rùn、yàn guī nán pǔ.
4 zuì fáng tā、jiā yuē fēng liú,diàn chē búdào dù líng lù.

5 chén chén jiāng shàng wàng jí,hái bèi chūn cháo wǎn jí,nán xún guān dù.
6 yǐn yuē yáo fēng,hé lèi xiè niáng méi wǔ.
7 lín duàn àn、xīn lǜ shēng shí,shì luò hóng、dài chóu liú chǔ.
8 jì dāng rì、mén yǎn lí huā,jiǎn dēng shēn yè yǔ.

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