2022年9月29日木曜日

203満庭芳(張鎡)

満庭芳  張鎡

促織児

1月洗高梧、露漙幽草、宝釵楼外秋深。
2土花沿翠、螢火墜牆陰。
3静聴寒声断続、微韻転・淒咽悲沈。
4争求侶・殷勤勧織、促破暁機心。

5児時曾記得、呼灯灌穴、斂歩随音。
6任満身花影、猶自追尋。
7携向華堂戯鬥、亭台小・籠巧妝金。
8今休説、従渠床下、涼夜伴孤吟。

コオロギ

1月の光が高くのびた梧を洗い、露は深い草を濡らし、宝釵楼の向こうで秋は深まっている。
2苔が緑に広がり、蛍がかきねの陰に下りる。
3寒々しい声が途切れがちに鳴くのを静かに聴く、かすかな音はたちまちむせぶように悲しげに。
4どうして連れ合いを求めてねんごろに機織りを勧めているのだろうか、夜明けまで心を尽くすよう促している。

5子どもの時、かつてこんなことがあった、灯を持ってこさせて穴に水を注ぎ、抜き足で鳴き声を追った。
6全身を花の影に委ねて、なお独りで追いかけた。
7コオロギを持って堂で闘わせた、うてなのような小さいカゴ、巧みに金で飾られた。
8今はやめよう、この床下から、冷たい夜に、私につきあって寂しく鳴いている。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
1漙:音は「団」、露が多いさま。『詩経』鄭風「野有蔓草」に「野有蔓草、零露漙兮(野に蔓草有り、零露漙たり)」とある。 宝釵楼:もとは咸陽の古跡、ここは借りて臨安の張達可の家の楼台をいう。 2土花:青い苔。

促織児(コオロギ)

 

1月は高い梧を洗い、露は(ふか)い草を()らし、宝釵楼の(むこう)で秋は深まる。

土花(こけ)(みどり)沿(ひろ)がり、螢火(ほたる)が牆の陰に()りる。

3静かに聴く、(つめた)い声は断続(とぎれ)がち、微韻(かすかなおと)(たちま)淒咽(むせ)ぶように悲沈(かな)しげに。

(どうし)(つれあい)を求めて殷勤(ねんごろ)(はたおり)を勧めるのか、破暁(よあけ)まで心を(つく)すよう促している。

 

(こども)の時、(かつ)記得(おぼえ)ている、灯を(もってこ)させて穴に(みずそそ)ぎ、斂歩(ぬきあし)で音を()った。

6満身を花の影に(ゆだ)ねて、()(ひと)りで追尋(おいかけ)た。

()って華堂(たかどの)()戯鬥(たたか)わせた、亭台(うてな)の小さい籠は巧みに金を妝っていて。

8今は休説(やめよ)()の床下から()(つめ)たい夜、(つきあ)って(さび)しく()いている。


mǎn tíng fāng

cù zhī ér

1 yuè xǐ gāo wú,lù tuán yōu cǎo,bǎo chāi lóu wài qiū shēn.
2 tǔ huā yán cuì,yíng huǒ zhuì qiáng yīn.
3 jìng tīng hán shēng duàn xù,wēi yùn zhuàn、qī yè bēi shěn.
4 zhēng qiú lǚ、yīn qín quàn zhī,cù pò xiǎo jī xīn.

5 ér shí céng jì dé,hū dēng guàn xué,liǎn bù suí yīn.
6 rèn mǎn shēn huā yǐng,yóu zì zhuī xún.
7 xié xiàng huá táng xì dòu,tíng tái xiǎo、lǒng qiǎo zhuāng jīn.
8 jīn xiū shuō,cóng qú chuáng xià,liáng yè bàn gū yín.

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