2022年9月24日土曜日

189念奴嬌(姜夔)

念奴嬌  姜夔

余客武陵、湖北憲治在焉。古城野水、喬木参天、余与二三友日蕩舟其間、薄荷花而飲、意象幽閑、不類人境。秋水且涸、荷葉出地尋丈、因列坐其下、上不見日、清風徐来、緑雲自動、間于疏処窺見遊人画船、亦一楽也。朅来呉興、数得相羊荷花中。又夜泛西湖、光景奇絶、故以此句写之。

1鬧紅一舸、記来時・嘗与鴛鴦為侶。
2三十六陂人未到、水佩風裳無数。
3翠葉吹涼、玉容消酒、更灑菰蒲雨。
4嫣然搖動、冷香飛上詩句。

5日暮、青蓋亭亭、情人不見、争忍凌波去。
6只恐舞衣寒易落、愁入西風南浦。
7高柳垂陰、老魚吹浪、留我花間住。
8田田多少、幾回沙際帰路。

私が武陵を旅したとき、湖北の憲治(検察)がここにあった。古い街と自然、喬木は天を衝き、私は二、三の友と一緒に日がな舟をその間に揺蕩い、荷の花に迫っては飲み、雰囲気は優雅、人の世とは思えなかった。秋の川は涸れようとして、荷の葉が地を出ること八尺、そこで並んでその下に座ると、上は日が見えない。清風がゆっくりと来て、雲が流れ、まばらなところの間には遊ぶ人の船が見えて、また一興だった。呉興を行き来し、ハス花の中を幾度もうろうろした。また夜には西湖に舟を浮かべ、光景は素晴らしく、このためこの句でここに記す。

1赤い小舟、思い出す、ここに来た時のことを、かつて鴛鴦と一緒に伴侶となった。
2三十六陂の岸に人々はまだ来ていない、水をおびたまとし、風をスカートとする、無数のハスの花。
3緑の葉は涼風に吹かれ、玉のような花は酒から醒め、さらにマコモや蒲を濡らす雨。
4あでやかに搖れ動き、冷たい香りが飛んで、詩句に上る。

5日が暮れ、緑のハスの葉がそそり立つ、あの人は見えない、どうして波間を去ることができようか。
6ただ恐れる、舞の衣のようなハスの花が寒さで散り易く、愁いが秋風の吹く南浦に入ることを。
7高い柳が枝を垂らす陰、肥えた魚が浪の花を吹き上げ、私を花のあいだに留める。
8ハスの葉はどれほど茂っているか、幾度も岸辺の帰り道をめぐった。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
0武陵:今の湖南常徳、宋代は朗州武陵郡と呼ばれていた。 朅来:往来するの意。 相羊:「徜徉」と同じ。徘徊する、自由に往来する。 2三十六陂:「陂」の音は「碑」。江南の水郷の岸にハスが多いこと。王安石「題西太乙宮壁」詩に「楊柳鳴蜩緑暗、荷花落日紅酣。三十六陂煙水、白頭想見江南(柳葉鳴蜩 緑暗く、荷花落日 紅酣なり。三十六陂の煙水、白頭想見す 江南を)」とある。「陂」は堤防、ため池も指す。『詩経』陳風「沢陂」に「彼沢之陂、有蒲与荷(彼の沢の陂に、蒲と荷と有り)」とある。 水佩風裳:李賀「蘇小小墓」詩に「風為裳、水為珮(風は裳と為り、水は珮と為る)」とある。 3玉容消酒:ハスの花を、酔いが覚めてなお赤みを帯びている美女に喩える。 8田田:ハスの葉が茂っているさま。古楽府「江南」に「江南可採蓮、蓮葉何田田(江南 蓮を採る可し、蓮葉 何ぞ田田たる)」とある。

(わたし)が武陵に(たび)したとき、湖北の憲治(けんさつ)(ここ)()った。

古城(ふるいまち)野水(しぜん)、喬木は天を()き、(わたし)は二三の友と(とも)に日がな舟を其の間に(うか)べ、荷の花に薄而(せま)っては飲み、意象(ふんいき)幽閑(ゆうが)人境(ひとのよ)とは不類(おもえな)かった。

秋の(かわ)且涸(かれよ)うとして、荷の葉が地を出ること尋丈(はっしゃく)(そこ)(なら)んで其の下に坐ると、上は日が不見(みえな)い、清風が(ゆっくり)と来て、緑雲(くも)自動(なが)れ、(まばら)な処の間于(あいだに)は遊ぶ人の画船(ふね)窺見(のぞ)かれて、()一楽(たのしみ)であっ()

呉興を朅来(いきき)、荷花数得(いくど)相羊(うろうろ)した。

()た夜には西湖に(うか)び、光景は奇絶(すばら)しく、(このため)に此の句()(ここ)(しる)す。

 

鬧紅(あか)一舸(こぶね)(おもいだ)す、来た時、(かつ)て鴛鴦と(とも)(つれあい)()った。

三十六陂(きし)(ひとびと)未到(きていな)い、水を(おびたま)とし風を(スカート)とする、無数を。

翠葉()(かぜ)に吹かれ、玉容(はな)は酒から()め、更に(こも)(がま)()らす雨。

嫣然(あでやか)に搖れ動き、冷たい香りが飛んで詩句に上る。

 

5日が暮れ、青い(はすのは)亭亭(そそりた)つ情人(あのひと)不見(みえな)い、(どうし)凌波(なみま)を去ることが(でき)ようか。

()だ恐れる、舞衣(はすのはな)が寒さで()り易く、愁いが西風(あきかぜ)のふく南浦に入ることを。

7高い柳が垂らす陰、()えた魚が浪を吹きあげ、(わたし)を花の間に留住(とどめ)る。

田田(はすのは)多少(どれほど)か、(いくど)沙際(きしべ)の帰り路を(めぐ)った。


niàn nú jiāo

yú kè wǔ líng,h úběi xiàn zhì zài yān.
gǔ chéng yě shuǐ,qiáo mù cān tiān,yú yǔ èr sān yǒu rì dàng zhōu qí jiān,bò hé huā ér yǐn,yì xiàng yōu xián,bú lèi rén jìng.
qiū shuǐ qiě hé,hé yè chū dì xún zhàng,yīn liè zuò qí xià,shàng bú jiàn rì,qīng fēng xú lái,lǜ yún zì dòng,jiān yú shū chǔ kuī jiàn yóu rén huà chuán,yì yí lè yě.
qiè lái wú xīng,shù dé chāng yáng hé huā zhōng.
yòu yè fàn xī hú,guāng jǐng qíjué,gù yǐ cǐ jù xiě zhī.

1 nào hóng yì gě,jì lái shí、cháng yǔ yuān yāng wéi lǚ.
2 sān shí liù pō rén wèi dào,shuǐ pèi fēng shang wú shù.
3 cuì yè chuī liáng,yù róng xiāo jiǔ,gèng sǎ gū pú yǔ.
4 yān rán yáo dòng,lěng xiāng fēi shàng shī jù.

5 rì mù,qīng gài tíng tíng,qíng rén bú jiàn,zhēng rěn líng bō qù.
6 zhǐ kǒng wǔ yī hán yì luò,chóu rù xī fēng nán pǔ.
7 gāo liǔ chuí yīn,lǎo yú chuī làng,liú wǒ huā jiān zhù.
8 tián tián duō shǎo,jǐ huí shā jì guī lù.

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