2022年9月21日水曜日

186斉天楽(姜夔)

斉天楽  姜夔

丙辰歳、与張功甫会飲張達可之堂、聞屋壁間蟋蟀有声、功甫約余同賦、以授歌者。功父先成、辞甚美、予徘徊茉莉花間、仰見秋月、頓起幽思、尋亦得此。蟋蟀、中都呼為促織、善斗、好事者或以二三十万銭致一枚、鏤象歯為楼観以貯之。

1庾郎先自吟愁賦、淒淒更聞私語。
2露湿銅鋪、苔侵石井、都是曾聴伊処。
3哀音似訴、正思婦無眠、起尋機杼。
4曲曲屏山、夜涼独自甚情緒。

5西窓又吹暗雨。
6為誰頻断続、相和砧杵。
7候館迎秋、離宮吊月、別有傷心無数。
8豳詩漫与、笑籬落呼灯、世間児女。
9写入琴糸、一声声更苦。

丙辰の歳、張功甫と一緒に張達可の堂に集まって飲んだ。部屋の壁の間から蟋蟀が鳴くのが聞こえ、功甫は私と一緒に詞を作って、そして歌い手にあげようと約束した。功父が先に出来て、言葉はたいそう美しく、私は茉莉の花の間を徘徊し、秋の月を仰ぎ見て、しばし黙って考えては、ふたたび歩いてまたこの作を得た。蟋蟀は、都では促織と呼んで、よく闘うので、好事者の中には二、三十万銭を使って一匹を求めることがあり、象牙を楼の形に彫って、そこに蟋蟀を貯えたりする。

1庾郎は先ず自分で「愁賦」を吟じ、寂しくもさらにひそひそ話を聞いた。
2露が銅の輪を湿らせ、苔が石の井戸にのびている、すべてかつて蟋蟀の声を聴いた場所。
3哀しい声は訴えているよう、ちょうど物思う女性が眠れなくて、起きて機を織ろうとする頃。
4折り重なる屏風に囲まれて、夜は冷たい、独りでなんたる思い。

5西の窓辺にまた暗く雨が吹きつける。
6誰のせいでしきりに途切れるのか、砧の音が蟋蟀の声に応えている。
7旅宿は秋を迎え、離宮に月がかかり、他にも悲しみが無数に有る。
8蟋蟀をうたった『詩経』豳風「七月」の詩は、うっかりと作られたものだ、可笑しいではないか、まがきの下で蟋蟀を見つけたら灯を持ってくるよう呼ぶのだ、世間の子どもたちは。
9琴の音にのせよう、どの音もさらに切ないことだろう。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
0丙辰歳:寧宗慶元二年(1196)。 張功甫:名は鎡、張俊の孫、『南湖集』がある。張達可は、張鎡の古い字が時可だったので、張鎡の兄弟かも知れない。 中都:都内、杭州のこと。 1庾郎:庾信のこと。かつて「愁賦」を作ったが、いまは残句のみ伝わる。袁去華163「安公子」の「庾信愁如許」の注、参照。 2銅鋪:大門の上に飾られる環状の銅製部品。 8豳詩:『詩経』豳風「七月」のこと。詩に「七月在野、八月在宇、九月在戸、十月蟋蟀入我床下(七月は野に在り、八月は宇に在り、九月は戸に在り、十月は蟋蟀 我が床下に入る)」とある。 漫与:そそくさと行う。

丙辰の歳、張功甫と(とも)に張達可()堂に(あつま)って飲んだ、(へや)の壁の間から蟋蟀が有声()くのが聞こえ、功甫は(わたし)(いっしょ)(つく)って、(そし)歌者(かしゅ)に授けようと(やくそく)した。

功父が先に(でき)て、(ことば)は甚だ美しく、(わたし)茉莉(ジャスミン)の花の間を徘徊し、秋の月を仰ぎ見て、頓起(しばし)幽思(だまってかんがえ)ては、(ある)いて()(これ)を得た。

蟋蟀は、中都(みやこ)では促織と呼為()んで、()(たたか)うので、好事者は或いは二三十万銭()一枚(いっぴき)(もとめ)るし、象歯(ぞうげ)()って楼観(たかどの)(つく)って(そし)(これ)(たくわえ)る。

 

庾郎(ゆしん)(みずか)ら愁賦を吟じ、淒淒(さび)しくも更に私語(ひそひそばなし)を聞いた。

2露が銅の()を湿らせ、苔が石の(いど)()びている、都是(すべ)(かつ)(こおろぎ)を聴いた処。

3哀しい(こえ)は訴えている(よう)(ちょう)(ものおも)(じょせい)無眠(ねむれな)くて、起きて機杼(はた)を尋ねる。

曲曲(おりかさな)屏山(びょうぶ)、夜は(つめ)たく、独自(ひと)りで(なん)たる情緒(おもい)

 

5西の窓に又た暗く雨が吹く。

6誰の(せい)(しきり)断続(とぎれ)れるのか、砧杵(きぬた)相和(こたえ)る。

候館(たびやど)は秋を迎え、離宮に月が(かか)り、(ほか)傷心(かなしみ)が無数に有る。

豳詩(コオロギのうた)(うっかり)(つくら)れた、(おか)しい、(まがき)(した)で灯を呼ぶ、世間の児女(こども)たちは。

琴糸(ことのね)写入(のせ)よう、一声声(どのおと)も更に苦しい。


qí tiān lè

bǐng chén suì,yǔ zhāng gōng fǔ huì yǐn zhāng dá kě zhī táng,wén wū bì jiān xī shuài yǒu shēng,gōng fǔ yuē yú tóng fù,yǐ shòu gē zhě.
gōng fù xiān chéng,cí shèn měi,yǔ pái huái mò lì huā jiān,yǎng jiàn qiū yuè,dùn qǐ yōu sī,xún yì dé cǐ.
xī shuài,zhōng dōu hū wèi cù zhī,shàn dòu,hǎo shì zhě huò yǐ èr sān shí wàn qián zhì yì méi,lòu xiàng chǐ wèi lóu guān yǐ zhù zhī.

1 yǔ láng xiān zì yín chóu fù,qī qī gèng wén sī yǔ.
2 lù shī tóng pū,tái qīn shíjǐng,dōu shì céng tīng yī chù.
3 āi yīn sì sù,zhèng sī fù wú mián,qǐ xún jī zhù.
4 qū qǔ píng shān,yè liáng dú zì shèn qíng xù.

5 xī chuān yòu chuī àn yǔ.
6 wèi shéi pín duàn xù,xiāng hé zhēn chǔ.
7 hòu guǎn yíng qiū,lí gōng diào yuè,bié yǒu shāng xīn wú shù.
8 bīn shī màn yǔ,xiào lí luò hū dēng,shì jiān ér nǚ.
9 xiě rù qín mì,yì sheng shēng gèng kǔ.

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