2022年9月17日土曜日

177木蘭花慢(辛棄疾)

木蘭花慢  辛棄疾

滁州送范倅

1老来情味減、対別酒、怯流年。
2況屈指中秋、十分好月、不照人円。
3無情水、都不管、共西風只管送帰船。
4秋晚蓴鱸江上、夜深児女灯前。

5征衫便好去朝天、玉殿正思賢。
6想夜半承明、留教視草、却遣籌辺。
7長安故人問我、道愁腸殢酒只依然。
8目断秋霄落雁、酔来時響空弦。

滁州にて范倅を見送る

1老いて情趣が減り、別れの酒を前にすると、時の流れを恐れるばかり。
2まして指を屈して中秋を迎え、十分にすばらしい月であっても、人の団円を照らさないとなれば。
3無情な河は、いつもお構いなく、秋風と一緒にただ帰船を送ることばかりやっている。
4秋の晚、故郷の味である鱸魚のいる河のほとりで、あなたは夜深くまで児女と灯前で語るのだろう。

5旅姿のままでいいから、朝廷へ行きたまえ、玉殿はまさに賢者を待っている。
6きっと夜半の承明殿では、君を留めて起草をさせ、思いがけず辺境への派遣も検討するに違いない。
7都の古い友人が私について尋ねたら、言ってくれ、悲しみで酒に苦しむさまだけは相変わらずだ、と。
8秋の空の雁を眺める、酔って時に空弦を響かせながら。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
0范倅:范昴のこと。「倅」は副職の称。范昴は乾道六年に滁州通判となり(『滁州府志』に見える)、八年(1172)秋に離任した(『宋会要』に見える)。辛棄疾は滁州知府に任ぜられた。 4蓴鱸:辛棄疾174「水龍吟」の「鱸魚堪膾」の注、参照。 「夜深」句:黄庭堅「寄叔父夷仲」詩に「児女灯前語夜深(児女 灯前 語りて夜深し)」とある。 6承明:班固「西都賦」に「承明金馬、著作之庭。大雅宏達、於茲為群(承明 金馬、著作の庭。大雅 宏達、茲に群を為す)」とある。 視草:皇帝のために詔の草稿を作ったり改訂したりすること。 7愁腸殢酒:唐の韓偓「有憶」詩に「愁腸殢酒人千里(愁腸 酒に殢る 人 千里)」とある。「殢」の音は「替」、苦しむこと。 8「目断」二句:『戦国策』「楚策」に、「更羸が魏王と京台の下で会って、鳥が飛ぶのを仰ぎ見た。更羸は魏王に、『弓だけで鳥を射落としてみせましょう』と言い、……しばらくして雁が東からきたので、弓を鳴らすだけで雁を落としてみせた。魏王が『なぜ射落とせたのか?』と言うと、更羸は『この鳥ははぐれ者です。……傷が癒えずビクビクしています。弓の音を聞いただけで高く飛び上がり、傷のために落ちてしまうのです』と答えた」とある。

滁州にて范倅を(みおく)

 

老来()いて情味(じょうしゅ)が減り、別れの酒に(むか)い、流年(ときのながれ)(おそ)れる。

(まし)て指を屈して中秋、十分に()い月も、人の(だんらん)不照(てらさな)い。

3無情な(かわ)が、(いつ)不管(かまわな)いで、西風(あきかぜ)と共に只だ帰船を送ることばかり()っている。

4秋の晚に蓴鱸(ふるさとのあじ)(かわ)(ほとり)で、夜深くまで児女と灯前に。

 

征衫(たびすがた)便(まま)()いから朝天(ちょうてい)()きたまえ、玉殿に(まさ)思賢(けんじゃ)

(きっ)と夜半の承明では、留めて視草(きそう)させ()(おもいがけ)(さかい)への(つか)いも(はか)るだろう。

長安(みやこ)故人(とも)(わたし)(たず)ねたら、()ってくれ、愁腸(かなしみ)で酒に(くる)()依然(あいかわらず)だと。

秋霄(あきぞら)落雁(かり)目断(ながめ)る、酔来()って時に空弦を響かせながら。


mù lán huā màn

chú zhōu sòng fàn cuì

1 lǎo lái qíng wèi jiǎn,duì bié jiǔ,qiè liú nián.
2 kuàng qū zhǐ zhōng qiū,shí fēn hǎo yuè,bú zhào rén yuán.
3 wú qíng shuǐ,dōu bù guǎn,gòng xī fēng zhǐ guǎn sòng guī chuán.
4 qiū wǎn chún lú jiāng shàng,yè shēn érnǚ dēng qián.

5 zhēng shān biàn hǎo qù cháo tiān,yù diàn zhèng sī xián.
6 xiǎng yè bàn chéng míng,liú jiāo shì cǎo,què qiǎn chóu biān.
7 cháng ān gù rén wèn wǒ,dào chóu cháng tì jiǔ zhǐ yī rán.
8 mù duàn qiū xiāo luò yàn,zuì lái shí xiǎng kōng xián.

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