2022年9月14日水曜日

172漢宮春(辛棄疾)

漢宮春  辛棄疾

立春

1春已帰来、看美人頭上、裊裊春幡。
2無端風雨、未肯收尽余寒。
3年時燕子、料今宵・夢到西園。
4渾未辨・黄柑薦酒、更伝青韭堆盤。

5却笑東風、従此便薰梅染柳、更沒些閑。
6閑時又来鏡裏、転変朱顔。
7清愁不断、問何人・会解連環。
8生怕見・花開花落、朝来塞雁先還。

立春

1春はすでに帰って来たのだろう、美人の髪に、ゆらゆらと春の幡が見える。
2だがわけもなく風雨は、まだ残る寒さをあえて收め尽そうとしない。
3あの年の燕は、きっと今宵も、夢で西園へ行っただろう。
4私はすべてやらない、黄柑で酒を薦め、さらに青韭を伝えて盤に盛る、立春の祝いは。

5かえって笑うだけ、春風が、これからきっと梅を薰じ柳を染めて、さらに隙間もなくすから。
6ひまな時にはまた鏡の中に来て、若い顔をしまうだろう。
7愁いは絶えない、誰に尋ねよう、連環を解くことができるか、と。
8ひたすら恐れて見る、花が咲き花が散り、ある朝が来れば辺塞の雁がまず北へ帰ることを。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
1春幡:『歳時風土記』に「立春の日、士大夫の家では、小さな幡(はた)を切って、家人の頭に懸けたり、花の枝に下げたりする」とある。 3西園:作者のほかの詞に東園があり、いずれも瓢泉の景色かと思われる。 4「黄柑」二句:『遵生八箋』に「立春の日に五辛盤を作り、黄柑で酒を造り、『洞庭春色』という。蘇軾の詩にも『辛盤得青韭、朧酒是黄柑(辛盤に青韭を得る、朧酒は是れ黄柑)』とある」という。 5薰梅染柳:李賀「瑶華楽」に「燻梅染柳将贈君(梅を薫じ柳を染めて将に君に贈らんとす)」とある。 7解連環:愁いが結ぼれてなかなか解けない喩え。『戦国策』に見える。周邦彦109「解連環」の注、参照。 8生怕:もっとも心配する。ただ心配する。

立春

 

1春は已に帰って来た、美人の頭上(かみ)に、裊裊(ゆらゆら)と春幡(はた)が看(み)える。

2無端(わけもな)く風雨は、未(ま)だ余(のこ)る寒さを肯て收め尽さない。

3年時(あのとし)の燕子(つばめ)は、料(きっ)と今宵も、夢で西園へ到(い)った。

4渾(すべ)て未辨(やらな)い、黄柑で酒を薦め、更に青韭を伝えて盤に堆(も)ること。

 

5却って笑うだけ、東風(はるかぜ)が、従此(これから)便(きっ)と梅を薰じ柳を染めて、更に些閑(すきま)も沒(な)くすだろう。

6閑(ひま)な時には又た鏡の裏(なか)に来て、朱(わかい)顔(かお)を転変(か)えるだろう。

7清愁(うれい)は不断(たえな)い、何人(だれ)に問(たず)ねよう、連環を解くことが会(でき)るか、と。

8生怕(ひたすらおそ)て見る、花が開(さ)き花が落(ち)り、朝が来れば塞(とりで)の雁が先ず還ることを。


hàn gōng chūn

lì chūn

1 chūn yǐ guī lái,kàn měi rén tóu shàng,niǎo niǎo chūn fān.
2 wú duān fēng yǔ,wèi kěn shōu jǐn yú hán.
3 nián shí yàn zǐ,liào jīn xiāo、mèng dào xī yuán.
4 hún wèi biàn、huáng qián jiàn jiǔ,gèng chuán qīng jiǔ duī pán.

5 què xiào dōng fēng,cóng cǐ biàn xūn méi rǎn liǔ,gèng méi xiē xián.
6 xián shí yòu lái jìng lǐ,zhuǎn biàn zhū yán.
7 qīng chóu bú duàn,wèn hé rén、huì jiě lián huán.
8 sheng pà jiàn、huā kāi huā luò,cháo lái sè yàn xiān hái.

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