2022年9月5日月曜日

157六州歌頭

六州歌頭  張孝祥

1長淮望断、関塞莽然平。
2征塵暗、霜風勁、悄辺声。
3黯消凝、追想当年事、殆天数、非人力、洙泗上、弦歌地、亦膻腥。
4隔水氈郷、落日牛羊下、区脱縦横。
5看名王宵獵、騎火一川明。
6笳鼓悲鳴、遣人驚。

7念腰間箭、匣中剣、空埃蠹、竟何成。
8時易失、心徒壯、歳将零、渺神京。
9干羽方懐遠、静烽燧、且休兵。
10冠蓋使、紛馳騖、若為情。
11聞道中原遺老、常南望・翠葆霓旌。
12使行人到此、忠憤気填膺、有涙如傾。

1淮水を眺めれば、砦は草むして広がっている。
2征戦にゆく人馬の塵で暗く、冷たい風は強く、ひっそりと辺境の音がする。
3暗く悲しく目をこらし、追想する、あの年の出来事を、おそらく天の定めで、人力ではなかったのだ、かつて孔子が講義していた洙水と泗水のほとり、弦歌する地、そこもまた生臭くなったのは。
4川を隔てて遊牧民族の国では、日が落ち牛羊が山を下り、歩哨があちこちに立っているだろう。
5見たまえ、将軍が夜に狩りをして、たいまつで川が明るい。
6葦笛と鼓が悲しく鳴り、人を驚ろかせる。

7思う、かつて腰に差した矢、箱の中の剣は、むなしく埃にまみれ虫に食われて、結局は何を成したのか。
8時は失われやすく、心はいたずらに壮ん、歳は暮れようとしている、はるかな都で。
9礼楽の舞でやっと彼らを懐かせ、狼煙を静め、しばらく休戦した。
10和睦を求める天子の使いは、ごたごたと走り回り、恥ずかしい。
11聞くところでは、中原にとりのこされた人々は、常に南を望めているとか、天子の出陣を。
12旅人をここに来させたら、憤怒の気が胸に満ちて、傾けるように涙するだろう。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
3黯消凝:「黯然(くらい)」「消魂(かなしい)」「凝神(集中する)」の意。 洙泗:洙水と泗水、山東曲阜を流れて、かつて孔子が学徒を集めて講義していた。春秋時代には礼楽を重視し、学堂には弦歌がつねに響いていたので、「弦歌地」という。 膻腥:牛羊のまな臭さ。ここは金兵に汚されたことをいう。 4隔水氈郷:淮河を隔てて、北岸が金国であること。「氈郷」は北方遊牧民族の居住地。多くが氈(獣毛で織った敷物)でテントを張って住んでいることから。 「落日」句:『詩経』王風「君子于役」に「日之夕矣、羊牛下来(日の夕べ、羊牛は下り来たる)」とある。「下」は山を下って柵に入ること。 区脱:「瓯脱」ともいう。音は同じ。漢代に匈奴が土室を築いて、「瓯脱」と呼び、辺境を守った。ここは敵の歩哨所をいう。 5名王:少数民族で著名な将軍。北方民族は戦争前にしばしば狩りをして軍事演習を行ったので、高適「燕歌行」に「校尉羽書飛瀚海、単于猟火照狼山(校尉の羽書は瀚海に飛び、単于の獵火は狼山を照らす)」とある。 7埃蠹:埃をかぶり虫にかじられる。矢の上の羽毛をいう。 9干羽:木の盾と雉の尾、舞う者が手にとる道具。『尚書』「大禹謨」に、虞舜は「干羽を両階に舞わしむ」とあり、有苗(古代の部族)が帰順した、と記されている。 懐遠:辺境の少数民族を安撫して、帰順させること。ここは南宋が金兵の攻撃に抵抗できずに、和議をしたことを諷刺する。 烽燧:夜に火を挙げることを「烽」、昼に煙を上げることを「燧」といい、どちらも警報として用いる。 10若為情:何を情としようか。現代語の「怎么好意思(恥ずかしい)」「不难为情吗(恥ずかしくないのか)」に同じ。 11翠葆霓旌:翠鳥の羽毛(傘の形にして車蓋に立てて装飾とする)と、五色の旗。皇帝の車をいう。

 

長淮(わいすい)望断(ながめ)れば、関塞(とりで)莽然(くさむし)(ひろが)る。

(いくさ)の塵で暗く、(つめた)い風は(つよ)く、(ひっそり)(はて)(おと)がする。

(くら)(かな)しく(こら)し、追想する、当年(あのとし)の事、(おそら)天数(さだめ)で、人力では()かった、洙泗の(ほとり)、弦歌する地も、()膻腥(なまぐさ)

(かわ)を隔てた氈郷(かのくに)、日が落ち牛羊が下り、区脱(ほしょう)縦横(あちこち)に。

()たまえ、名王(しょうぐん)(よる)(かり)をして、騎火(たいまつ)一川(かわ)が明るい。

(あしぶえ)(つづみ)が悲しく鳴り、人を驚ろか()る。

 

(おも)う、腰間(こし)()匣中(はこ)の剣、空しく埃にまみれ(むしばま)れて、(けっきょく)は何を成したのか。

8時は失われ易く、心は(いたずら)(さか)ん、歳は()よう()とする、(はる)かな神京(みやこ)

干羽(まい)(やっ)(かれら)(なつ)かせ、烽燧(のろし)を静め、(しばら)休兵(きゅうせん)しよう。

10冠蓋(てんし)の使いは、(ごたごた)(はしりまわ)若為情(はずか)しい。

11聞道(きくところ)では、中原に遺老(とりのこされたひとびと)は、常に南を望めているとか、翠葆霓旌(てんしのしゅつじん)を。

12行人(たびびと)(ここ)(いた)(使)たら、忠憤(いきどおり)の気が(むね)()ち、傾ける(よう)に涙()るだろう。


liù zhōu gē tóu

1 zhǎng huái wàng duàn,guān sè mǎng rán píng.
2 zhēng chén àn,shuāng fēng jìn,qiǎo biān shēng.
3 àn xiāo níng,zhuī xiǎng dāng nián shì,dài tiān shù,fēi rén lì,zhū sì shàng,xián gē dì,yì shān xīng.
4 gé shuǐ zhān xiāng,luò rì niú yáng xià,qū tuō zòng héng.
5 kàn míng wáng xiāo liè,qí huǒ yì chuān míng.
6 jiā gǔ bēi míng,qiǎn rén jīng.

7 niàn yāo jiān jiàn,xiá zhōng jiàn,kòng āi dù,jìng hé chéng.
8 shí yì shī,xīn tú zhuàng,suì jiāng líng,miǎo shén jīng.
9 gàn yǔ fāng huái yuǎn,jìng fēng suì,qiě xiū bīng.
10 guān gài shǐ,fēn chí wù,ruò wèi qíng.
11 wén dào zhōng yuán yí lǎo,cháng nán wàng、cuì bǎo ní jīng.
12 shǐ xíng rén dào cǐ,zhōng fèn qì tián yīng,yǒu lèi rú qīng.

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