2022年9月4日日曜日

154満江紅(岳飛)

満江紅  岳飛

1怒髮衝冠、憑欄処・瀟瀟雨歇。
2抬望眼・仰天長嘯、壯懐激烈。
3三十功名塵与土、八千里路雲和月。
4莫等閑・白了少年頭、空悲切。

5靖康恥、猶未雪、臣子恨、何時滅。
6駕長車・踏破賀蘭山缺。
7壮志飢餐胡虜肉、笑談渴飲匈奴血。
8待従頭・收拾旧山河、朝天闕。

1怒りで髮は天を衝く、手すりにもたれる時、サーサーと降っていた雨がやんだ。
2目をあげて天を仰ぎ長々と息を吐けば、勇ましい思いは激烈に。
3三十にして名を四方に挙げた、八千里の路を雲と月とが連れ立って。
4ぼんやりとしていてはいけない、若者の頭が白くなったら、むなしく悲しむだけだ。

5靖康の恥を、まだそそいでいない、臣下の恨みは、いつなくなるのだろう。
6戦車に乗り、賀蘭山のくぼみを踏破する。
7壮志を抱いて、飢えれば胡虜の肉を食らい、笑談する間に、渇けば匈奴の血を飲もう。
8またかつての山河を取り戻したら、天子にまみえん。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
1怒髮衝冠:『史記』「廉頗藺相如列伝」に「相如 因りて璧を持ち、却って立ち、怒髪 上りて冠を衝く」とある。 3三十:岳飛が殺されたのは、わずか四十歳のとき。この詞は三十歳を越えたばかりの頃の作であろう。 塵与土:風塵の舞う中、四方を奔走したこと。岳飛「題翠微亭」詩に「経年塵土満征衣(年を経て 塵土 征衣に満つ)」とある。 八千里路:数千里を戦ってきたこと。 雲和月:星を披い月を戴くの意。 4「莫等閑」二句:漢の楽府「長歌行」に「少壮不努力、老大徒傷悲(少壮 努力せざれば、老大 徒に傷悲す)」とある。 5靖康恥:靖康元年(1126)に、金の兵が汴京を破り、翌年、徽宗と欽宗を北へ連行し、北宋が滅亡したこと。 恨:「憾」とするテキストもある。 6「駕長車」句:北上して敵の巣窟を攻撃すること。「長車」は、戦車。賀蘭山は寧夏にあり、河套の西は西夏に属していて、西夏と南宋は戦闘状態にはなかった。岳飛は「直ちに黄竜府に抵し、諸君と痛飲せんのみ」(『宋史』本伝)といい、黄龍府は吉林にあって、金国の古い巣窟があった。賀蘭山と黄龍府は、一つは西に一つは東にあり、あいだに遼寧・河北・山西・陝西の諸省があり、千里の距離があった。 缺:山の尾根の低くなっている所。 7飢餐胡虜肉・渴飲匈奴血:『漢書』「王莾伝」に「中校尉の韓威が『新(王莾の国号)室の威信で、胡虜を併呑し、蚤蝨さえ残さず、退治なさいませ。私に勇敢な兵5000人を与えてくだされば、兵糧は要りません。飢えたら胡虜の肉を食らい、乾いたらその血を飲んで、暴れてきます』と進言した」とある。 8朝天闕:皇帝に朝見する。「天闕」は皇帝の住む宮殿。
 

1怒りで髮は冠を衝く、(てすり)(もた)れる(とき)瀟瀟(サーサー)たる雨が()んだ。

望眼()()げて天を仰ぎ長々と(いきは)く、(いさま)しい(おもい)は激烈に。

3三十で名を塵与土(しほう)()げた、八千里の路を雲と月とが(つれだ)って。

等閑(ぼんやり)しては(いけな)い、少年(わかもの)の頭が白了(しろくなっ)たら、空しく悲切(かな)しむだけ。

 

5靖康の恥を、()未雪(そそいでいな)い、臣子(しんか)の恨みは、何時(いつ)(なくな)るだろう。

長車(せんしゃ)()り、賀蘭山の(くぼみ)を踏破する。

7壮志ありて、飢えれば胡虜の肉を(くら)い、笑談するまに、(かわ)けば匈奴を飲もう

従頭()(かつて)の山河を收拾(とりもど)すのを待って、天闕(てんし)(まみえ)ん。


mǎn jiāng hóng

1 nù fà chōng guān,píng lán chù、xiāo xiāo yǔ xiē.
2 tái wàng yǎn、yǎng tiān cháng xiào,zhuàng huái jī liè.
3 sān shí gong míng chén yǔ tǔ,bā qiān lǐ lù yún hé yuè.
4 mò děng xián、bái liǎo shào nián tóu,kōng bēi qiè.

5 jìng kāng chǐ,yóu wèi xuě,chén zǐ hèn,hé shí miè.
6 jià cháng chē、tà pò hè lán shān quē.
7 zhuàng zhì jī cān hú lǔ ròu,xiào tán kě yǐn xiōng nú xuè.
8 dài cóng tóu、shōu shí jiù shān hé,cháo tiān quē.

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