2022年9月4日日曜日

152薄倖(呂濱老)

 薄倖  呂濱老

1青楼春晚、昼寂寂・梳匀又懶。
2乍聴得・鴉啼鶯哢、惹起新愁無限。
3記年時・偸擲春心、花前隔霧遙相見。
4便角枕題詩、宝釵貰酒、共酔青苔深院。

5怎忘得・回廊下、携手処・花明月満。
6如今但暮雨、蜂愁蝶恨、小窓閑対芭蕉展。
7却誰拘管。
8尽無言閑品秦箏、涙満参差雁。
9腰肢漸小、心与楊花共遠。

1青楼に春は暮れる、昼はひっそり、化粧するのもまたけだるい。
2ふっと聞こえる、鴉が鳴き鶯が囀って、新しい愁いを限りなく惹きおこす。
3思い出す、あの年、こっそりと気持ちを投げて、花の前で霧に隔てられながら遠く見つめ合った。
4そして枕を並べて詩を書き、簪をぬいて酒に替え、ともに酔った、苔むす庭で。

5忘れられない、回廊の下、手をとりあったとき、花は明るく月は満ちていた。
6今はただ暮れの雨に、蜂が愁い蝶が恨み、小さな窓はしずかに芭蕉に向かって開くだけ。
7けれども誰が気にしようか。
8ひたすら黙ってしずかに箏を奏で、涙が雁の群れのように並ぶ箏柱に満ちる。
9腰はしだいに細くなり、心は柳のわたとともに遠くへ飛ぶ。

蔡義江『宋詞三百首全解』注:
2哢:音は「尤」、去声。鳥が鳴くこと。 3年時:当年。 4角枕:獣の角で装飾した枕。『詩経』唐風「葛生」に「角枕粲兮、錦衾爛兮(角枕 粲き、錦衾 爛く)」とある。 貰:借りる。「宝釵貰酒」は、元稹「遣悲懐」詩に「泥他沽酒抜金釵(他に酒を沽うを泥れば金釵を抜く)」とある。 8参差雁:箏の柱のこと。斜めに並んで、雁が群で飛んでいるさまに似ている。

1青楼に春は晚(く)れる、昼は寂寂(ひっそり)、梳匀(けしょう)は又(ま)た懶(だる)い。

2乍(ふっ)と聴得(きこえ)る、鴉が啼(な)き鶯が哢(さえず)って、新しい愁いを無限(かぎりな)く惹(ひ)き起こす。

3記(おもいだ)す、年時(あのとし)、偸(こっそり)と春心(きもち)を擲(なげ)て、花の前で霧に隔てられ遙(とお)く相見(みつめあ)った。

4便(そし)て角枕(まくら)もとで詩を題(か)き、宝釵(かんざし)で酒を貰(か)り、共に酔った、青苔(こけむ)す深院(にわ)。

 

5怎忘得(わすれられな)い、回廊の下、手を携(とりあ)った処(とき)、花は明るく月は満ちて。

6如今(いま)は但(た)だ暮れの雨に、蜂が愁い蝶が恨み、小さな窓は閑(しずか)に芭蕉に対(むか)って展(ひら)くだけ。

7却(けれど)も誰が拘管(きにしよ)うか。

8尽(ひたす)ら無言(だま)って閑(しずか)に秦箏(こと)を品(かな)で、涙が参差(なら)ぶ雁(ことぢ)に満ちる。

9腰肢(こし)は漸(しだい)に小(ほそ)くなり、心は楊花(やなぎのわた)と与(とも)に共(いっしょ)に遠くへ。


Bó xìng

1 qīng lóu chūn wǎn,zhòu jì jì、shū yún yòu lǎn.
2 zhà tīng dé、yā tí yīng lòng,rě qǐ xīn chóu wú xiàn.
3 jì nián shí、tōu zhì chūn xīn,huā qián gé wù yáo xiāng jiàn.
4 biàn jiǎo zhěn tí shī,bǎo chāi shì jiǔ,gòng zuì qīng tái shēn yuàn.

5 zěn wàng dé、huí láng xià,xié shǒu chù、huā míng yuè mǎn.
6 rú jīn dàn mù yǔ,fēng chóu dié hèn,xiǎo chuān xián duì bā jiāo zhǎn.
7 què shéi jū guǎn.
8 jìn wú yán xián pǐn qín zhēng,lèi mǎn cēn cī yàn.
9 yāo zhī jiàn xiǎo,xīn yǔ yang huā gòng yuǎn.

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